「あっきおたーん!!!!」

「っうるせぇな…
静かに開けられねーのか」



一人、部屋でのんびり雑誌を読んでたらこれだ
せっかくの休日だっつうのに
一日くれぇ静かに出来ないのかコイツは



「ナンパしに行こうぜ!!!」

「は?」



コイツ、バカ?

デートならともかく、ナンパって…



「………」



俺は聞くのもめんどくさくなって
また視線を雑誌に落として
スルースキル発動

だがなんかウキウキしている
塑琉奈は四つん這いで俺の顔を覗いてきた



「なーなー、行こうぜ!行こうぜ!」

「………。」

「いーこーおーよー」

「………」

「あーきーおーたーん」

「………」



何度も声掛ける塑琉奈に
俺は返事をしてやらず、横目で不機嫌な塑琉奈の顔を確認しながら
雑誌のページをめくる

すると塑琉奈はドアを開けっ放しに
俺の部屋を出ていった



「…閉めろよ…」



立つのがめんどくさくて
ゆっくり起き上がり、ドアに近寄る

するとまた塑琉奈の大きな声



「綱海くーん!ナンパしに行こうぜ!」

「………」



俺がダメだったから
他のやつに声かけてるみてぇだ

…ったく、世話が焼かせやがる



「ぶー…」



仕方なく廊下で
塑琉奈の様子を見てれば

ダメだったらしい
塑琉奈がつまらなそうに口を尖らせて、俺の部屋のとこまで戻ってきた



「ナーンーパっ!」

「…なんでナンパ?」



俺の前まで来ると、表情変わらず
呪文みたいにまた言い放つその言葉

少しの沈黙の中
仕方なく返事をしてやれば



「…俺さ、男だったら絶対モテたと思うんだよね」

「話飛んだな」

「んでんで、女の状態でもモテるかなって」

「ふーん」



塑琉奈の理由を聞いて、
渋々納得はした俺は生返事のまま部屋へと戻る

後ろから塑琉奈もついてきて
今度はちゃんとドアを閉めてくれた





「…………」

「…………」



その後、二人きりの部屋の中
俺はまた雑誌に目を通し
塑琉奈は背中に擦り寄りながら
それを見つめて暫しの沈黙



「……あーあー、男に生まれたかったな…」

「んなもん、しょうがねえだろ」

「ふむむむ……」



沈黙を破った一人言をあしらえば
また不服なのか声を漏らす塑琉奈

俺はため息をついて
ぶにっと塑琉奈の頬をつねってやる



「いひゃい…!いひゃいいひゃい!」

「お前は女でいいんだよ」

「…っあ、」



引っ張ってパチンッと言うように
頬は弾力重ねて逆戻り

塑琉奈がそれを擦っている内に
一回だけ唇を奪ってやれば
更に赤くなる塑琉奈の頬

いつもやっている筈なのに
いつもそうやって恥ずかしがって




「やっぱ…お前は女でいいな」

「えー…やだよー…」



熱くなった頬を撫でてやれば
満更でもなく目を細める

けども減らず口なままで





「素直になれっつーの」





それでも愛しいから
その唇をまた奪ってやった










サンキュー!レディ!
(俺、お前が女で本当によかったぜ…)(うん?こうゆうな事にならなかったから?)(ちげぇよ、お前が男でも惚れちまうからだよ)










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やはりオチムズイ

個人的に最後のおまけ文
気に入ってます



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