「ん……っ」



微かに聞こえた携帯のバイブ音
俺はまだ眠気から目を完全に開けず
殆ど手探りで携帯を探す



「んあ……何時だ今…」



やっと手に取り、
ボリボリと頭を掻きながら
携帯を開き、メールを確認



「なんだまだ0時過ぎか…
えっと…監督からか」



メールは久遠監督からでたった一言
『部屋に来るように』とのこと

天地はそれを確認した後
ベッドから起き上がり、くあっと一欠伸。そのまま、ゆっくりと部屋を出ていった



「…けど珍しいな、
こんな時間に呼び出しなんて」





久遠監督から天地に連絡が
あるのはいつものこと

正直、彼等は付き合っているのだが
周りには隠しているため、
夜に会うのがお互いに当たり前で

けど久遠監督も他にやることがあり
日付が変わってから呼び出しということは今回は初めてだった





「久遠監督、樟葉です」



天地は少し寝癖を直しながら
歩いている内に久遠監督の部屋の前まで到着。

いつものように
二回ノックをしてから一声すれば
内側から『入れ』という久遠監督からの声が聞こえる筈…



「ああ…、入れ」

「おっ…お邪魔します」



返事を待つよりも先に
ガチャリとドアが開き、久遠監督が顔を覗かせて
まさか直接開けて迎えてくれるとは思わず、ぎこちなく返事をして部屋の中へ入った



「珍しいですね、深夜になんて」



久遠監督の背を見つめながら
まだ少し眠気が残っているのか
俺は小さく欠伸を落とすと

久遠はカチッとかけていた
眼鏡を机に置いてから、俺をじっと見つめた



「…樟葉、今日が何の日か覚えてるか?」

「今日…?」



久遠監督の視線をひしひしを感じながら、「なんかあったか?」っと
不思議に自分の携帯を開いて
そこでやっと思い出す



「…俺の…誕生日ですね」





あー…、最近
ここの仕事と変態達とおバカな親友たちのせいですっかり忘れてた…

もうそんなに日にち経ってたんだな…





「すっかり忘れてました…」

「…樟葉」

「っ…あ…」



少し恥ずかしくて
未だに俺を見つめている久遠監督に苦笑いしながら携帯を閉じると

ふとそれを握っていた手を引かれ
気が付いた時には久遠監督と身体が密着していた



「あ、あの…監督?」

「天地、お前に会えてよかった」



少しだけしか身長差がなくて
お互い間近で視線が重なる

表情変わらずとも
徐々に揺れる久遠の瞳と
密着して判る、心音の速さに

天地は思わず頬を緩ませる



「…なんだ」

「いや…、久遠監督も
珍しいことしてくれるんですね」

「いけなかったか?」



クスクスと聞こえる天地の笑い声に
久遠は不服に少し眉を動かす



「むしろ嬉しいですよ、ありがとうございます」



それを見て、ふわりと笑ってから
放った言葉を唇に乗せて
久遠へと捧げた



「…っ」



包むように優しく重ねる口付けは
久遠の身体中に感じさせて

思わず目を細め、また口付けを味わう



「……っ若者には敵わないな」

「監督も結構、満更じゃなかった気がしますけど?」



口付けの終わり
ふうっとため息を付きながら呟けば
ニッコリ楽しそうに笑う天地

久遠はそれにまたムッと顔をしかめる



「それより監督、続行していいですよね?」

「…っだめだ」

「今日俺、誕生日ですよ?」



今日、必殺技に等しい言葉を
普段とは似ても似つかない
妖艶な笑みをして、述べる天地

やんわり腰を撫でてから
くちゅりと唇を舐められて
柄にもなく久遠の身体が跳ねる



「…少し…だけだぞ…」





今日は上になると思ったんだが…
私はどうも
この天地のギャップに弱い…



まるでジキルとハイドだ





「…はい」





だが、それを好きになった私も
物好きが過ぎると思う

正直、彼に飲まれるのは嫌いじゃない





「誕生日おめでとう、天地」









ジキルとハイド
(実はアンタに祝ってくれるなんて思わなかったから、俺…全然余裕ないわ…)
(…この歳で何をしているんだ…私は…)








----------------->
初、久遠監督夢!
男主誕生日だから思わず…

はじめは監督を攻めにしようと思ったんですが、男主が攻めでもいいかなと

因みにタイトル下の台詞は
二人の心情ですね

なんやかんや
激しくヤっちゃてたらいいです
久遠監督が喘ぐのめちゃくちゃ
耐えてたらいいです

おっさん受け好きです!

相変わらず文ガタガタで
すいませんでした!



back
×