「俺…、塑琉奈さんのことが心配だなー…」

「んあ、なにが?将来か?俺の将来が心配か?確かに俺も心配だわー…」

「いや違くて」


うーんと腕を組み、考える素振りをする塑琉奈さんを俺はじとっと見つめる


「なんてーか…性格とか格好とかもろもろ…」

「欠点だらけと言いたいのか
このクソガキ、言うじゃねぇか…」

「最後まで俺の話聞いてくれよ…」


わざとらしく俺を睨み口元を緩める塑琉奈さんに俺は肩を竦める。すると「何が引っかかんだよー」っと楽しそうに笑うもんだから


「そーゆうとこ、他の奴からしたらドキッてするんすよ?」

「…へ?」


ブスッと不貞腐れて、視線を外し言い放てば、塑琉奈さんは意味判らずポカンと顔に表す

塑琉奈さんは気さくだし、親しみあるし、んでスタイルも顔も良い。
只、お洒落しないだけで…もししたら…


「塑琉奈さんはわかってないだけで…、結構魅力的なんですからね?」

「だから何が?綱海くんが?」

「ちが…っ」


少し苛ついてそう言った塑琉奈さんの言葉に、不覚にも俺の顔に熱がこもる


「そーだな…、綱海くんはカッコいいし、逞しいし…ハタからみたら魅力的だよねー」

「そっ…そうっすかね…」

「うん!」


サラリと俺を褒めてはニカッと笑い返事をする塑琉奈さん。俺はそれが見れず、照れ臭くて視線を下に落とす。
すると、優しく塑琉奈さんに頭を撫でられる


「綱海くん、他の女の子に目移りしないでね?」


少し寂しそうな笑みをこぼし、俺にそう漏らす塑琉奈さん。俺はその塑琉奈さんの気持ちとは裏腹、嬉しさのあまりギュウッと手を握って見つめた


「それ、こっちのセリフっすよ」


本当、貴女って人は俺が望む言葉を、俺の気持ちをいつだってスルリと言ってしまう。

知らず知らずに何度も俺と貴女は意志疎通ばかり


「塑琉奈さんには敵わないな…」

「えへへへ…そう?」


貴女の体温を受け取り、俺の身体中を循環させて、俺の言葉にまた笑みを溢す塑琉奈さん。それにまた……俺は虜になっていくんだ


侵食恋愛
お互いに感情を侵食していこうか





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