※バレンタインとリンクしてます



今までは俺にとって
なんとも思わなかった今日の行事

けど、それが1ヶ月前に
大事な日にへと変わったのだ





「珍しいなー、
不動から誘ってくるなんて」

「……うるせ」



少し悩んだ後、
俺の彼女になった塑琉奈に
でっ…、デートに誘ってみれば

多分コイツ、今日が大事な日なのを
もう忘れてるのか
こんなことを口走りやがる…

さっきまで悩んでいた
俺を返してほしいぜ



「でも人多いな」

「どうせホワイトデーこぎつけて
出掛けてるカップルの群れだろ」



まあ…あまり俺も
人のこと言えねぇけどな


二人、適当にバザールに繰り出せば
所々視界に入る青色、白色のハート
リボンにクッキーの匂い

そして行き交うカップル達

その中を不動は満更でもなく見渡す



「あっ!そうだ不動!
俺行きたいところがあるんだ!」

「行きたいところ?」

「うん!」



声に反応し、顔を上げれば
塑琉奈の楽しみな笑顔があって
不動は思わず頬が赤くなる



「…行くぞ」

「え!?いいの!?」

「ブラついてても暇だから
しょうがねぇから行ってやるだけだ!」

「…いよっしゃあ!あんがとね!」



少し赤くなった頬を隠しながら歩み出せば、塑琉奈はガッツポーズして、その不動の後をスキップしながら付いていった








「…で、行きたい所ってここかよ…?」



塑琉奈と一緒に
渋々目的地まで歩んでいれば

「ここ!!」っと塑琉奈が
大きな声を出し、指差した店を
見た瞬間、俺はガクッと肩を落とした

親子連れが何人もそのお店に入り
下手したら子供の泣き声までここまで響く

そう、そこは子供たちが目を輝かせる大きな玩具屋さんだった



「早く入ろうぜ!!不動!!」

「おっ…おい!」



肩を落としてため息をついた自分とは裏腹、塑琉奈は意気揚々とした声で俺の腕を引き、その玩具屋さんに入る



「塑琉奈が此処までガキだとは思わなかったぜ…」

「えー?知らなかった?
俺、玩具屋見るの好きだよー」

「はぁ…?なんで?」

「欲しかった玩具が見つかるし
お菓子いっぱいあるんだもん」

「……やっぱりガキじゃねぇか」

「否定はしないね」



クスクス笑い、言葉を包む塑琉奈は
やはり俺よりも上手だ

けど、こうやって子供じみた所があって…本当、掴めない奴を好きになったなとたまに思う



「いたいた!!テディー!!」



ふと聞こえた塑琉奈の声に顔を上げてみれば、一目散に大きなテディベアに抱きついた塑琉奈

俺はそれに思わず頬が緩んだ



「なんだお前、テディベア好きなのか?」

「うん!てかぬいぐるみが好き!」



うんしょっとそれを抱き抱えながら
俺の元にパタパタ歩み寄り

ぎゅっとテディベアを胸中に収め
笑顔を振り撒く塑琉奈



「不動ー、買って!!!」

「はあ?やだね」

「えー、今日記念日だろー!!?」



ため息ついて断れば
次には予想外のお言葉が飛び交って
思わず俺は体を固めた





なんだよ……知ってたんじゃねーか

こいつ、図ってやがったな…





「買ってくり!買ってくり!」

「てめぇ…中学生にたかるとか
良い度胸してんな…」

「そんな中学生が恋人ですけど?」



威張る形でそう言った塑琉奈に
少し驚いて目を見張る

けども変わらずの緩い笑みに
こっちが恥ずかしくなって



「…ペンギン」

「うぬ?」

「…ペンギンのぬいぐるみなら
買ってやらなくもねぇけど…」



照れ隠しに目を反らして言ってやれば、パアッと一気に塑琉奈の笑顔に光溢れた



「マジで!?じゃあペアで買おうぜ!!」

「ペアって…お前…」

「おお?なんだ照れたか?」


「違げぇよ!!!飽きれてんだ!!!」

「ハイハイ」



ケケケとヨコシマな笑いをしながら
塑琉奈は二体のペンギンを俺に差し出し、それを受け取ってからふと気付く



「おい、なんで両方青なんだよ」

「だってピンクやだもん」

「同じ色じゃペアじゃねーだろ」

「いたっ…!!!」


ぶつくさ言う塑琉奈を尻目に
ピンクのペンギンを手に取り

額にデコピンをかまして、レジへと向かえば





「ふーどーうー!!!」

「あ?」

「好きだよー!!!」

「!!?」





周りのことを気にせずに
塑琉奈が大きな声でそう言って
笑顔で俺に手に振るもんだから





「……知ってるよ…バーカ…」





顔が赤くなるのを知りながら
店員の顔が見れずにボソリとそう言うしかなかった








特別に昇格
(俺、青色のペンギンな!)
(……しょうがねぇな…)







------------>
バレンタインリンクで
ホワイトデー話でした

おっそとか言っちゃだめwww
気分はホワイトデーで読んでくださいw






back
×