今袋の中にある複数の小さな箱に俺は上機嫌!!


「ひー、ふー、みー、よー…」


これは秋ちゃんからでこっちがしぃたんで…
貰ったチョコを数えて、うひょひょーと俺はニヤニヤが止まらない


「いやぁ…かわゆい女の子たちから貰えるとは幸せだよねー」


ルンルンと軽く足を進めて
次は誰に貰おうかと考えたと時だった


「あー!!塑琉奈さん!!やっと見つけた!!」

「ふっ、ふごぉお!?綱海くん!?」


前方から走り出してきた綱海に俺はびっくりして軽い歩みだった足にギギーと急ブレーキを掛けた


「なんでこんなとこに…って
既に何個か貰ってるし…」

「なんだ欲しいのか!?やらんぞ!?」

「いやそれはいらねぇっす」

「なっ、なんじゃと!?」


それはそれで腹立つわ!!
くそ!!もっと悔しがれし!!

全部友チョコだけどね!?


「それより塑琉奈さん!!」

「はっ、はい!?」

「チョコください!!」

「あっ、あー!!」


綱海からすごい必死にそう言われ
塑琉奈はそうだった!!と
ガサゴソと袋をまさぐるが
更にそこで気付いたことが一つ


「ごめん綱海くん」

「えっ…まさか…」

「無くなっちゃいましたー!!
ざーんねーん!!」

「えぇえ!?そんなあああ!!」


ケロリと言う塑琉奈とは裏腹
綱海は心底残念そうに
ガックリと肩を落とした


「普通、残してくれたっていいじゃねぇかー…」

「いやぁ、大量に作ってきたからさ
メンバーのみんなに「何個でも取ってもいいよ」とか言ってたからかな?」

「間違なくそれだろ…」

「………」


はぁっと大きなため息をついて項垂れる綱海を見つめながら、塑琉奈はなにか思ったのかふとこう口走った


「綱海くんってさ
なんか体がチョコっぽいよね」

「え…?」


塑琉奈の言葉にポカンと間抜けな顔をしていたら、次には手を添えられる


「塑琉奈さん…?」

「なんかこう…ビターな味がしてそう!」

「いや、あの…」


綱海は意図が判らず
塑琉奈の行動に目を見張ってれば

塑琉奈は綱海の手を口元に移動して
はむっと人差し指を口にくわえた


「っ!?塑琉奈さ…、」

「んー?」


口に含まれたと思えば次にはペロリと指を舐められ、甘噛みをしながら見つめてきた塑琉奈に綱海は思わず頬が熱くなる

普通、誰かに指を舐められたとしても
そこまで刺激されるものではない

だが今の綱海からして見れば
好きな人が自分の指を舐めている

それだけで体が火照るのだ。

ましてや


「んっ…はむっ」

「…っ」


見上げられて
舐め方もテクニシャンときたら
綱海を刺激させるには十分だったのだ


「っなんだー、しょっぱいや!」


やっと綱海の人差し指が塑琉奈の口から解放される。人差し指には勿論塑琉奈の唾液まみれで


「……」

「あっ、悪い!!拭かなきゃな!!」


塑琉奈が慌てて服の裾で
それを拭こうとすれば

綱海はおもむろに
それを口に運び、舐め上げた


「わー!!汚いからやめなさい!!」

「…塑琉奈さん」


塑琉奈が慌ててそれを制止しようと
手を伸ばした瞬間

逆に綱海に掴まれ
そのまま唇を塞がれてしまう


「んっ…!?」


グイッと強引に後頭部を押さえられ
貪るように塑琉奈に深い口づけを
何度も落とす


「ちょ…綱海くん…?」

「アンタって人は…」


口が離され、ため息付かれれば呼吸が乱れながらも、訳が判らず首を傾げる塑琉奈。

綱海は仕方なく塑琉奈をそのまま抱き上げた


「うわわわっ!!!?なにすんだよ!!!?」

「塑琉奈さんが可愛い過ぎるのが悪いんだからな!」

「訳がわかんねーよ!!!」


ぎゃーぎゃーと抱きすくめられて喚く塑琉奈など構わず、綱海はそのまま保健室へと向かった。



チョコじゃ敵わないほど君は甘過ぎる!


来夢「塑琉奈見つかって良かったね、綱海くん」

綱海「はい!おかげさまで!」

塑琉奈「…………」

来夢「ど、どした塑琉奈?」

塑琉奈「…人はチョコの味しないんだね…
肝に命じておくよ…」

来夢「いやそれ当たり前。」

綱海「もう一回舐めてもいいですよ、俺の指」

塑琉奈「…もうやんない」





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