たまに思うの
私だけが貴方を好んでいるのかと


「……おい、」

「うん?」

「いい加減退いてくれないか?」

皆がもう寝静まるような時間
まだ眠りにつかず、一人読書をしていた翼の上に私は乗り掛かっていた

いい加減眠たいのだろう
彼はもう本を閉じ、少し髪を整えてから、嫌々私を見上げる

「…翼ってさ、本当に理性の塊だよね」

「…どういうことだ?」

「普通、こういう状況なら襲うでしょ」

「悪いが、俺はそこまで猛獣じゃない」

渋々、彼から離れて寄り添うようにベッドに潜り込めば、翼は拒む様子を見せず私に背を向けた

「翼は猛獣じゃなくて猛禽でしょ」

「そうだな」

「それとも私に興味ないから?」

「私は好きだからこんなことしてるのに…」なんて思いながら、
翼の背に頬擦りしてれば
ふと彼の体が回転して、目が合う形に

「随分とした言いがかりだな、塑琉奈
いつ俺がそんなこと言ったんだ?」

「好きっとも言ってないじゃない」

不適に笑って私を見つめる翼に
不貞腐れて目を反らしてやれば
彼は私の頬を撫でて、また笑う

「……わかっているくせに」

そのまますっぽりと彼の胸中に収まれば、ふと聞こえる心の音

普段の彼とは大違いな速く脈打つその音を聞いて

「……そうね…」

私は安堵を言葉に漏らして
彼の心の音を耳元に、眠りについた


本当に確かなものは
彼の心音が教えてくれたの



------------->
一万打フリリク小説
初の翼夢でした。
彼は本当に理性の塊なイメージがあるので、それを不服に思っている夢主とのお話でした






×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -