※親子設定



仕事で疲れた身体を引き摺りながら家へと帰宅。漸く、漸く終わった。そんな感想しか出ない。それにしても遅くなり過ぎたなぁと円堂は思う。こんな時間に帰宅なんて起こしてしまわないだろうか。心配になりながら出来るだけ音を立てないよう玄関の戸を開けた。

「え…?」
深夜と言うのに、リビングに灯りが付いたままなのか暗い筈の廊下がぼんやりと光で照らされていた。もしかして。何かあったのかと慌てて向かうも、リビングには人気が無い。ただの消し忘れかと安堵しつつ、後で一応注意をしようと考えながら中へ進めば思わぬ塊に円堂は息を飲んだ。
何故なら大きいとは言い難いソファーに幾ら幼子といえ些か窮屈なそこに三人互いに凭れる形で寄り添い、眠っていたのだ。ソファーの周りに散らばった本やクレヨンといった道具が暇をもて余していたことを表しているようだ。
(もしかして、)
待っていてくれたのだろうか。そう思えば、静かに寝息を立てる幼子達に有り難さというのか、嬉しさというのか。円堂は三人の幼子達の気持ちに胸が熱くなった。
夜遅くにしか帰れない。まともに遊んでやることも。ましてや世話なんてお世辞にも出来ているなんて言えないのに。家事だって。小学校上がったばかりなのに率先してやってくれている。自分はこの子達に苦労しか与えてやれていないと言うのに。それでも。それでも、そんな自分を父親と慕ってくれる。そんな幼子達が愛しくて、内心涙するのだった。


(有難う、)



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