人って見掛けによらないものなんだねとつくづく思う。なんでこうなったかはうる覚えだけど、確か誰かがビール缶を何処からか拝借したのが始まりだった気がする。取り敢えず、良心は咎めるもやはり好奇心には勝てなくて。口では静止する人もいたけれど、兎に角気付けば皆酔っ払っていた。程よい酔いならばよかったのかも知れないけれど、結構お酒が入ってしまっている人が大半だったらしくゲームは始まったのだ。何って呑み比べ。きっと最初はあまり酔ってない僕や基山君を見て酔わせてやろう的なノリだった気もする。そんなこんなで始まった呑み比べ大会は凄まじいものとなった。まさに地獄絵図。ばったばったと皆が倒れていくなか、地域的に強い僕や綱海君、立向居君。それから基山君になんと意外なことにキャプテンが残った。屍を築き上げてきたのと、なんだかみんなテンションがハイになっていたのもあって、呑み比べは続いたのだ。その時あまり酔いも回ってなかったから楽勝かなって思ったけど大間違い。基山君、立向居君が順にリタイアし、そして残ったのは僕と綱海君とキャプテンの三人。残ったと言っても僕も綱海君ももう意識を保っているのが限界で酒なんか気力で飲んでいるだけだ。その証拠に綱海君なんか顔を真っ赤にし、焦点の定まらない手で缶を握っている。ああ、僕も今あんな状態だと思うと情けなく思う。対してキャプテンはお酒飲んだよね?なんて疑いたくなるくらいケロッとしているのだ。ほんのり頬が赤いくらいで他は全く変化なし。…絶対キャプテンはお酒に弱いと思ってたんだけど。キャプテンの醜態をちょこっとだけ楽しみにしていたので少し残念ではある。……次リベンジすればいいよね。
「よぉし…せぇの、で次のむりょ!」
「大丈夫か?綱海舌が回ってないぞ?」
綱海君は大丈夫と呂律の回らない口で答えると合図で三人ともお酒を煽った。あー綱海君倒れた。というのが最後の感想で、このお酒を煽った後意識がぷつりと途絶えてしまった。好きな子の前で情けないとは思うけど、その好きな子が底無しだったのだから仕方ないと思いたい。
取り敢えず、なんとも情けない形で呑み比べは幕を閉じたのだけれど、何故だろう。あれからキャプテンの様子がおかしいのだ。
僕の顔を見る度どこかへ行っちゃうし、あまり会話もしてくれない。もしかして…考えたくはないのだけれど、キャプテンにとんでもなく酷いことをしてしまったのだろうか。思い出したくてもあの後の記憶なんて一切ないし、残念ながらキャプテンしか意識を保っていた人物はいないので他の人に訊くことも出来ない。ああもう、本当にどうしよう。



誰か教えて!








「おい、円堂。吹雪と何かあったのか?」
「え?や、べ、べつに?」



(まさか吹雪の態度が可愛くってき、キスしたとか言えない、よなぁ)





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