※オリキャラいます。
※モブ女←円っぽい要素有り。
※色々許せる方向けです。



俺達と守との出逢いは今でも鮮明に覚えている。
あれは、唯一の肉親であった母の葬儀の日であった。当時の俺達は今よりも小さかった為よくはわからない。けれど、どうやら母は俺達を身籠って直ぐ男に逃げられたらしく、物心付く頃には母一人で俺達三人を育てていた。しかし母はそれを悲観するどころか「私の見る目も落ちたわね」と笑っていたが。
兎に角、何処の誰と知らぬ男との間に出来た俺達は祖母を除いて親戚からは疎まれていた。親戚は表面上にこやかな笑みを浮かべる者もいたが、俺達が見当たらないとわかればひそひそと母や俺達の悪口を言うのだ。いくら小学生に満たない年齢といえど、子供だって。いや、子供だからこそ親戚の心無い悪意は胸に響いた。
全く似ていない。余計なのを。私は嫌よ。醜い。断片的にしか思い出せないが、親戚は兎に角俺達を引き取りたくないらしく口々に文句を言っては押し付け合うの繰り返し。味方である祖母も夫を無くしてしまっているのと、祖母の兄弟と暮らしている為祖母の一存では引き取ることが出来ず、ごめんなさい。と何度も俺達に謝った。祖母の所為ではないというのに。
ただ俺達はこれからくるであろう別れを察してか互いに引っ付きながら大人達の醜さに。いや、人生の無情さに内心涙することしか出来なかった。きっとこれが最後。俺達は各々施設か親戚の家へ預けられ大人になるまで会うことはなくなる。そんな悲しい現実に小さな俺達ではどうすることも出来なくて、ただ優しい優しい祖母に寄り添うことしか許されなくて。俺達は徐々に迫る審判を身が引き裂かれる思いで待つしか術はなかった。
そんな時である。見ず知らずの青年が祖母の部屋へと訪れたのは。青年は泣き腫らした目で祖母に挨拶をすると俺達を見た。それは親戚達の悪意の隠ったものでなければ、第三者の憐れみの目でもない。青年の目は優しさに満ち溢れていた。大袈裟な、と思うかもしれない。けれど俺達にとってはそう感じたのだ。何せ悪意でも憐れみでもなく、俺達として見てくれる人なんて祖母以外いなかったのだから。初めてのことに何も言えないでいると、青年はそんな俺達に苦笑するも丁寧とは言い難い挨拶をしてきた。それにぎこちなくも三者三様の挨拶を返せば、当たり前のことをしただけだというのに、偉い。と各々の頭を撫でながら誉めてくれる。此処に来て祖母以外にされた触れ合いにじんと心が温かくなった。
俺達が他者の優しさに嬉しくも戸惑っていると青年は突如名前を訊いてきたのだ。いきなりのことで互いに顔を見合せると、おずおずと三人の中では一番人懐っこい晴矢が名前を口にする。それに続いて風介、俺と。それを聞いた青年は何故か宜しくな。と返した。
「おばさん、この子達を俺にください」
「でも守ちゃん…貴方、わかってるの?貴方の子じゃない。それに結婚もしていない守ちゃんが」
「わかってます。未婚で、男です。でも、引き取りたいんです。第三者の俺が言っていいことじゃない。けど、このままじゃこの子達は離ればなれになる」
「………もう、あの子はいないのよ」
「そうですね……でもアイツなら折角の兄弟をこんな形で引き裂きたくない筈です」
「…………」
真っ直ぐと、まるで青年の心からの気持ちを祖母に向けているようなやり取りに、当時の俺達には首を傾げるしか出来なかった。ただ、なんだかよくはわからないが、もしかしたら俺達三人離ればなれにならなくて済むかもしれないということだけは何となく察したが。
あまりの展開についていけず、事の成り行きを黙って見守っていると、青年の誠実さに折れた祖母が了承したのだった。

その日、母を亡くした俺達に父が出来た。
これが父となった青年──円堂守と、俺達三つ子の出会いである。






大きな手、小さな手






(こんにちは、愛しい子達!)






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