どうしようなんて思いながら何度もドアと後ろを互いに向く。
ことの始まりは龍のお友達が来ているからで、でもそれが当然男性のためうまく行けないというのが事実です。
怖いと言うのが正直な気持ち。けど行かなきゃおかしいと言うのも事実。
そんなことをモンモンと考えながら前を見る。

ああ。多分、彼らは龍から聞いているんですよね。私が了承したのだから当たり前ですが、やっぱり怖いのは怖いんです。
喘息…けど私にとってはその喘息のせいですべてを失ってしまった。
親の期待や、教師の期待。そして、友との関係。

理由なんて簡単でした。
ただ、喘息のせいで学校を休んでいて勉強に追いつけなかったから。ましてや喘息のせいで運動なんてできません。
兄は、お兄ちゃんは何でもできました。
勉強も運動も。なにもかも私よりも。
そのせいか母や父も期待をしてくれた。教師さえもが。
でも喘息と分かったとき母や父は目に見えるように落胆してしまいました。言葉で何度も「大丈夫だから気にしないで」「違うことで頑張ればいいさ」なんて言うけど、やっぱり期待するのはいつも兄でした。教師は元から私の家が裕福だったために態度は変わりませんでしたが。父が有名小説家。母は大女優。こんな裕福な家庭に生まれたから皆がなにも言わない。

だから私はあまり家に居なくなりました。
いえ、居たくないんです。だって居たって私の居場所なんてないから。
それだから私は龍の家に居るんです。
居場所が欲しいから。どんなに努力しようとも母と父はみてくれないでしょうから。

けど、今は?龍の友達が居たら居場所なんて無いに等しいです。
お願いです…。私から居場所をとらないで…。


「はぅ…」

「入らないのかい?」

「ひゃうーー!?」


後ろから声が聞こえて驚きの声を上げながら後ろを振り向く。そこにいたのは龍のお友達。あの6人の中で2人中のうちの長髪の人。長い髪をポニーテールにして、どこか人なつっこい笑みで近づいてきます。
クスクスと肩を揺らしている。??、もしかして…。


「わ、笑ってますか?」

「わ、悪いねぇ…その、そんな反応される、なんてさぁ…っあはは!」

「うぅ…」


は、恥ずかしいです。
こんな姿見られるなんて…。たぶん、彼に自覚はないんでしょうが、私としては見られたら恥ずかしいんです。

慶次はゆっくりと少女の顔を見た。たぶん、少女が顔を赤くしているのは自分の容姿ではなく、さっきの可愛らしい驚きの声を聞かれたからだと。そう思うとなぜか胸が痛んだが、少女の特別な表情を見れたようで嬉しくも思えた。改めて少女を見てみても、可愛らしいとは思うもの別格飛び抜けているわけでもない。むしろ、自分に寄ってくる女子の方が上かもしれない。
しかし、この少女は周りに集まってくる女子よりも可愛いと思えてしまう。なぜだろうか?と思うもののその答えはまだ出なかった。


「ごめんな。で、中はいろーぜ?」

「あ、えっと、はい…」


どうしましょうか?
私に分け隔てなく接してくれて嬉しいのですが…その、なんだかやっぱり彼を直視できません。
ましてや、さっきのこともありますし、喘息だって…そしてこんなに美形な人と話したことありませんし。顔に熱が集中するのがわかります。こんなことは初めてでよく分からないです。


「どうかした?もしかして具合悪い?」

「え、いや…あの違います…!その、せ、先輩が…カッコ良くて、それにさっきのことが、あって直視、できないんです!」

「へっ」


いきなり驚嘆の声を上げる先輩を見上げるとなぜか顔を手で覆う先輩がいました。
わ、私何かしましたか…!?


「あ、あの…先輩…?」

「えっ、あの大丈夫だよ…!(無自覚だよね…周りにくる女の子と違って一番、照れる言い方なんだけど)」

「本当、ですか?」

「うんうん!行こっか!!」


グイグイと背中を押されてリビングへと向かう私と先輩。
ガチャリと音を立てて中へと入れば6人の視線が一気に私の方に向かってきます。
その中にはやはり不思議そうな視線も混ざっていて。
は、恥ずかしいです!


「慶次!おまえ何やってんだよ!」

「いや、まあ…あの色々とだよ元親」

「陽榎!そこの長髪に何かやられなかったか!?」

「だ、大丈夫です。お話、してただけです?」

「なんで疑問系なんだよ!っのぉー慶次ーーーっ!!」

「お、落ち着いてよ龍ーー!!」


そう言って始まってしまった龍と先輩の追いかけっこ。仲よろしいんですね。

次は、頑張って話せるようにしましょう!



天然注意報
(慶次殿?何かいいことでもあったのでござるか?)
(まあ色々とね!(カッコいいか…あの子に言われると嬉しいねぇ!))
(やっぱり殴る!)
(待った龍!)






加筆修正 20091101
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