「昨日のメール通り飯持ってきてねーぞ龍」

「某もでござるー」

「アレってさ龍が奢ってくれるの?イヤーラッキー!」

「Ha!明日は雪か?」

「政宗ーそれは言い過ぎじゃない?」

「我も伊達と同じことを思ったがな」


昼になって集まってきた政宗たちはそりゃ言いたい放題言ってくれてる。
何の恨みがあんのか、…いや、たぶん日頃のドタキャンに対してだろーが。
あぁー。くそっ。
仲直りしてもあんまり変わんないのが俺らの良さだと思うけどよ…。こいつらたまにだけど、ぶん殴りてぇ。
おっと。ケンカはしねぇってアイツとの約束だしな。
考えんのは止めだ止め。


「奢んねーよ。ほらよっ」

「おっ!弁当がいっぱいだねぇ」

「それ陽榎からだ。昨日のお詫びにだってよ」

「あの女子から…でござるか!」

「感謝しろよ。あんなに陽榎のこと言ったのに作ってくれたんだからよ」


その行為に俺は嫉妬してる。こんなくだらないことはコイツらに言えないけど、本当に嫉妬してる。
だってそうだろ?好きな女が友達(例えお詫びにでも)にプレゼントだぜ?考えただけでも嫉妬で狂いそうだぜ?
まったく。
アイツのお人好しにも感服したけど、コイツ等もな…なんで嬉しそうなのか…。


「その、さ…。女の子は何か言ってた?俺たちにたいして…」

「は?別に言ってねーぜ」

「そっか…。俺たち女の子に酷いこと言っちゃったしさ…」

「気にすんな。アイツも俺らと似てるからよ」

「似てるって?」


そう。アイツは俺たちと一緒だ。だから守んなきゃいけねー。
俺が決めたことなんだから。


「アイツも俺たちと一緒で男が苦手なんだよ」

「へっ?マジで言ってんの龍〜。俺様笑えないよ」

「本当だ。たぶん、アイツは俺たちより酷いぜ。小学校は共学だったけど中学からはずっと女子校だ」

「某たちと、一緒…」

「まぁ、ぶっちゃけ苦手ってよりどう接したらいいのかわかんねーんだよ。学校ろくに行ってなかったから」

「行ってないってどういう…―」

「病気だよ」


佐助の声を遮って言う。
陽榎が昨日、「話しても大丈夫ですよ」って言ったから言ってる。
そう、アイツは病気なんだ。
あまりに重くて、アイツにはキツくて辛い病気なんだ。それがなかったら絶対あんなにイヤがらなかっただろうな。
人が苦手なんて思うことなかったよな。
ホント…俺ってダメな男だぜ。ずっと側にいたのに気がついてやれなくて。

コイツ等、政宗たちには分かんねーだろうな。
女なんて媚びてきて、自分の私利私欲しか考えなくて、派手で、男の為なら金や権力、いろんなもんを駆使したり、ましてや顔だけで選ぶ女たちを見てきたんだもんな。
俺だって陽榎が居なきゃ完璧にそっちの思考になってたぜ。
けど陽榎が暖かいから。
人を見た目じゃなく性格や努力、そういったものを見てくれる奴だから。
着飾ったりせずありのままの自分を見せるような奴だから。
だから俺は俺、宮本 龍でいれたんだ。
だから陽榎を小向 陽榎として、1人の女の子としてみれたんだよ。

そんな気持ちをコイツ等に知ってほしいから俺は言うんだ。


「アイツは、小向 陽榎は酷い喘息持ちなんだよ。運動なんてできねーし、ましてや一歩間違えれば死ぬようなたぐいだ」

「そんなのを持って…生きてんのか?」

「あぁ。だからアイツは勉強も運動も他人より遅れをとってる。喘息によってな」

「でもなんで女子校なんだよ」

「阿呆。男子って奴はそうゆうので苛めんだよ。陽榎も小学校のときそうだったから女子校に進んだんだよ」

「でも家事とかしてるんでしょ」

「基本は精神面や生活環境をしっかりさせりゃできる。俺は心配だから早く帰ってたんだよ」

「そうゆうことだったんだ」

「そうだよ。特に年下だから気になったんだよ」


まぁ、幼なじみってのもあるんだけどよ。
しかし…なんでコイツ等こんなに陽榎の話に食いついてくんだ?
いつもなら「女だぁ?」「興味ねぇな」「某も聞きたくないでござる」とか言って絶対に話さねーくせによ。
一体、どうしたんだ?
ってか朝飯で変なもん食ったのかよ?


「ってか政宗たちさ、どうしたんだよ?そんなに陽榎の話に食い付いて」

「いや、あのさー」

「気になったんだよ。あのgirlが」

「ああん?陽榎が気になっただぁ?」

「YES!あのgirlは俺たちに正直な気持ちをぶつけてきただろ?そんなgirlは初めてなんだよ!」

「そうでござる!だから気になるのだ!」


…………。
何でだろうな。コイツ等にそういう女を見つけれたのは良いことだと思うし、仲間として、友達としてとても喜ばしいことなんだけどよ…。
陽榎ってのがムカつくんだよな。殴りたいくらいに。それはもう盛大にさ。

ちっ。めんどくせー奴らに陽榎の存在を知られちまったな。


「はぁ…」

「なぁなぁあの子が作ったんだよなこの弁当」

「あぁそうだぜ」

「いやぁー初めて女の子から貰うものがあの子の弁当で俺様たちラッキーだね〜」

「はっ?」

「我たちは女などに興味無かったのでな…女からの貰いものは初めてだぞ」


まじかよ。
よけいに肩の荷が重くなったような気がしたぜ。
ちっ。もうコイツ等に陽榎と合わせるのを止めるか、なんて人知れず考える俺がいた。



初めてのプレゼント
(美味しいね〜)
(あぁ。コレなら小十郎より上だぜ)
(俺様も負けた気分…)
(確かに佐助よりうまいでござる)
(我も好きだ)
(元就が認めんなんて珍しいぜ!)
(はぁ…(コイツ等に知られたのが間違いだ))






加筆修正 20091031
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