「っち。龍の奴よくもcancelしやがったな」
「ホントだよね政宗ー」
「今日は皆で放課後にゲーセンへ行く予定だというのに」
「急いで帰っちまうんだもんなー」
なんて会話から分かるよう俺様たちは只今お怒り中ー。
龍の奴さ、前々から約束してたのにドタキャンなんてホントどうしたのかね。
なーんて、こんなことは高２になってからは普通だし、けど限度ってもんがあるでしょ。
高１の頃は普通の付き合いしてくれるようになって安心したのにさ。
確か龍がこんな風に付き合い悪くなったのって確か中２からなんだよね。
一見、見た目だけで見りゃさ一番ケンカしそうで不良のトップって感じなのにさ、約束は守るは勉強は出来るし、ましてや女遊びのない硬派君。
世の中って不思議なもんだよねー。
で、中１からの仲の俺様たちは中２になって付き合い悪くなった龍に疑問を感じてるわけで。
女って感じじゃ無いんだよね。
ってかあったとしたら、龍は俺様たちに「彼女できたぜ」とか言いそうだし。
まぁ俺様たちは女なんて興味ないし、好こうとも思わないけどさ。
と、話が折れたんだけどそんなこんなで今龍の家に向かってるわけ。いい加減聞かなきゃ納得できないでしょ？
龍の話じゃ親は居ないし、住んでるってわけでもないから問題はない。
なんで分かるかって聞かれたらさっきゲーセンに行くって言ったとき「わりぃ。今日も家帰るぜ。今度埋め合わせするからさ」って言ってたからね。
「でもよ、龍の付き合い悪くなったのって今日が初めてじゃねーだろ」
「甘いねチカちゃん。龍さぁおかしいでしょ明らかに」
「いつもいつもドタキャンなんてな」
「確かにおかしいとは思うが気にするほどでもないであろう」
「まぁ直接確かめよってことだよ元就！」
そう。いい加減白黒つけなきゃダメでしょ。
龍のそう言うのには馴れてるけどさ、どうしてなのか知りたいから。
いつもいつもはぐらかされてきたんだから、偶には追求も悪くないからさ。
ケンカだっていつも見るだけ。
本当は俺様たちよりも強いのに絶対に手を出さない。
道行くお婆さんが困ってたら助けるし、タバコもお酒も吸わない飲まないの硬派振り。
もういい加減教えてくれてもいいでしょ。
なんやかんやで結局、政宗、旦那、慶次にチカちゃん、元就もきてるしさ。
やっぱりみんなも気になるんだよね。
そう思ってれば目の前には龍の家が見えてきた。
時間帯は５時近いから多分居るでしょ。
「コレでチャイム鳴らして女の子が『はーい。どちら様ですか？』ってきたらどうする？」
「まず無いだろ慶次。龍に限って」
「言えてるな。girlが出てきたらそれはそれで驚きだ」
「それに某たち７人は女子など興味ないでござる！」
「だな！んじゃ押しますか！！」
ピーンポーン
チャイム特有の音が鳴って、玄関のドアの前で待つ俺様たち。
多分、近所の人が見たら不良がかつあげに来たみたいに見えるかも。
なんてくだらないことを思いながらいれば、ドアの奥からパタパタと可愛らしい音が、ってえ？
みんなで顔を見合わせる。
あはー。ないない。絶対に無いって。
龍がおどかそーとしてるだけだよね。
きっとそうだよ。
うんうん！みんなもそんな顔してるし！
ガチャ
「はい。どちら様、です…か…？」
ま じ で ！ ？
そう思い彼女を見ると、俺様たち同様に固まってしまっていて、酷く驚いた様子だった。
多分、年下か同い年だと思われる女の子は可愛い、そんな言葉が合う子。
けどものすごくって訳じゃなくて、普通よりはってこと。
でもでも他の女の子たちとは違って化粧やキツい香水を付けてるわけでもない。
自然なシャンプーの香りが鼻を掠めてって、俺様なに言ってんの！？
これじゃ俺様変態みたいじゃ「陽榎？誰か来たのか？」ん？この声はって思いながら女の子の後ろを覗けばそこにいるのは紛れもなく龍だった。
「チャイム鳴ってたけどよ」
そう言って髪をタオルで拭きながらこちらに向かって歩いてくる龍。
きっと風呂にでも入ってたんだろうね。
けど、さ。上着ようよ。
あっ。龍が顔を上げた。
「って！てめぇーら！なんで居やがる！？」
「りゅ、龍の知り、あ…い…？」
女の子が後ろを見て固まっちゃったよ。
絶対に顔真っ赤だね。
俺様たちでも分かるから、だって後ろから見ても耳真っ赤だし。
普通は分かるでしょ。
はぁ…なんかめんどくさいことになりそう。
そう思ってる俺の直感が当たりそうで怖かったのは内緒。
当然、女の子の悲鳴が木霊したのは言うまでもない。
忘れ物出逢い
（キャーッ！龍の変態です！変態は火事行きですー！！）
（わけわかんねーこと言ってんな！陽榎！）
（服着てくださいー！！それに外にいる人たちは誰ですか―！ヤッさんですか！？はたまた宇宙人ですか―！？）
（落ち着け陽榎―っ！！）
（な、なんだかすごい女子でござる）
（powerfulなgirlだぜ）
加筆修正 20091027