私は逃げ出した。逃げた。佐助さんの言葉を受け入れたくないから私は ニ ゲ タ … 。逃げたくなかったと矛盾する心がある。居たかったと心が嘆く。だけどさっき佐助さんが言った言葉が今でも心に突き刺さる。嫌だ、嫌だ、嫌だ。佐助さんの言葉が嘘であってほしい。佐助さんの傍が好き。そう、私は佐助さんの近くにいるのが好きなんだ。
長曾我部さんのように太陽みたいな笑顔を見たことがあるわけじゃない。けど、佐助さんの困ったように笑う笑みが、はにかんだように…でも幸せそうに笑う姿が私は見たかった、見て好きになった。龍の近くにいて安心するような気持ちにはなれない。いつだってドキドキして心臓なんて壊れてしまうんじゃないかってほどに激しく動いているのに、佐助さんの傍にいると幸せを感じてしまう。私は、佐助さんの傍が好き、好き、好き。大好きなんだ。


「佐助さん、自身が…すきなんだぁ…!」


自然に足は止まっていて、下を向けば次々と涙がこぼれ落ちる。傍が好きだとか、幸せだとか…そういう気持ちになるのは佐助さんが好きだからなんだ。佐助さんが他の女の子を見てると胸がずきずきして、締め付けられるのは嫉妬していたから。佐助さんが私を見て笑ってくれると嬉しいのは私に笑ってくれるから。あぁ、どれもこれも好きだから出来てしまう感情なんだ。いまさら逃げた私がどうしろと言うんだろう。どうしようもできない。佐助さんには呆れられただろうし、私最低だ。今頃好きなんて気がついて、でも佐助さんといたいなんて。好きです佐助さん。どうしようもないくらい。あなたが好きなんです。でも私は逃げることしかできなくて、…そういえばお兄ちゃんが言ってた。初恋は実らないって。どうせ叶わないんだ。だったら…


「最後まで頑張ろう」


まだ終わってないよ。この恋が叶わなくてもいい。ただ佐助さんの傍で笑っていたい。大好きなあなたの傍にいたい。一番じゃなくてもいい。ただ愛する権利だけはください。あなたがどうしようもないくらいに好きなんですから。だったら引き返さなきゃ。まだ間に合う。諦めちゃだめだよね。

ねぇ佐助さん。私は佐助さんが好き、大好き。この恋が叶わなくたっていいから傍にいたい。ただそれだけが私のなによりの幸せになるんです。
だから好きでいさせてね。



心の中の貴方へ
(気づきました、貴方が好きだと)






20100315
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