「あっ…」

「どうした陽榎?」

「宿題の時間です」

「もうそんな時間かよ」


時計を見ればもう4時を指していて、ああ勉強しなきゃなんて思いました。いつもご飯は5時から準備をするので1時間で宿題をしています。
ご飯が終わったら予習をするんですが。

宿題はやっぱり頑張っても1時間位かかってしまうから。昔からの喘息のせいで遅れをとってしまったのだと改めて実感してしまいます。今じゃ中三の問題を解くのはやっとです。
少しは勉強しているのですが、やっぱりそうそう追いつけるものではないですね。はぁ…頑張りましょう。


「宿題、見るか?」

「あっ、いえ…1人で…「大丈夫じゃねーだろ」…うっ!」


でもと思い前を向けば伊達さんたちが居て、やっぱり迷惑になってしまうから止めようなんて思います。
龍にいくら言われてもこれだけは絶対に譲れません。だって、せっかく龍がお友達と遊んでいるんですから!


「今お前…変なこと思っただろ?」

「(ギクッ)な、なんにも考えてないです!」

「はぁ。俺が見てやるよ」

「だ、大丈夫です!」

「大丈夫な人間が1教科の宿題に1時間もかけるかよ。分かったらとっとと準備しろ」

「う、は、はい…」


やっぱり龍には勝てないです。確信を突かれて、言い返す言葉も見あたらずに上手く丸め込まれてしまいました。
ああ。なんだか大勢に囲まれているという気恥ずかしさと、全員が男性だという恐怖からどうにかなりそうです。これでは、頭に入るものも入らなくなるんじゃないでしょうか?なんて思っていると、頭上から前田さんの声が聞こえてきました。


「俺たちも見てあげない?ちょうど、学年トップ10に入る人全員揃ってるからさ!」

「おぉ、名案でござるな慶次殿!!某もお手伝いしましょうぞ!」

「まぁ、我も手伝わんこともないがな」

「素直に手伝ってやろーって気持ちはないのかよ元就」

「いーじゃんチカちゃん。ナリちゃんなりの優しさだよ」

「Hey!んじゃやるか!Are you ready?」

「「「OK!!」」」


えっえっ?私が話さないうちにどんどんと話が進んでいきます、?しかもなんだか、ご迷惑をおかけしているような、えっえっえーーっ!?
どうしようなんて目で訴えながら龍を見ると「はぁー…くだらねぇ」なんて言いたそうな顔で見てました。でも、止める気はないらしく、本当にどうしましょう…!!


「陽榎ちゃん今日は何の宿題やるの?」

「え、えっと英語、です」

「OK!俺の得意分野だぜ陽榎!!」

「貴様の得意分野というだけであり、我らとて英語くらい貴様と同じくらい出来るぞ」

「そーだよ政宗〜俺たちも陽榎に教えれるって」

「うぇ!えっ、えっ」


グイッと効果音が付きそうなくらいに前田さんが私を引っ張りました。
当然、行く場所といえば前田さんの腕の中で、…っ。
顔が赤くなる、そんなのがしっかりと自分にも分かって、頭の中はパニックするばかりでした。
龍に助けを求めよう!なんて思って前を向いたら彼はそこには居なかった。うそーなんて絶望感に浸りそうになった変わりに前田さんが「イタッ!痛い!痛い!」って言う声が私の耳元から聞こえてきました。


「慶次てめぇー。陽榎を抱きしめてんじゃねーよ」

「ちょっとタンマ!!痛いって龍!!」

「あっ…、龍…」


上を向けば龍が前田さんの耳を思いっきり引っ張ってるのが見えました。
耳が赤くなってます…。い、痛そうです。
けど龍は離す気がないのか、ずっと引っ張ったままです。はわぁー。もしかしてスキンシップなのでしょうか?いえ、龍なりの友達表現でしょうか?

そんな事を考えていたらいつの間にか前田さんの腕の中じゃなく、龍の腕の中に今度は居ました。
安心する心地よさが体中に広がります。
昔から変わらない彼の暖かさが私は好きなんですね。


「ったく。とっとと宿題始めるぞ」

「あっ、はい!龍」

「お前ら邪魔すんなら帰れよ」


そんな事を龍が言ったせいか、みなさん「邪魔しないからいるぜ」「しっかりと見るでござる!」と口々に言って全員が残ることになりました。
あぁ。勉強ができない私を今日ほど憎んだのは初めてです。

と、とにかく迷惑かけないように頑張らなきゃです!



勉強しましょ?
(ここにwhenを入れるんだぜ)
(ここにですか?)
(そうだよ陽榎ちゃん)
(覚えがいいんだな陽榎)
(あ、ありがとうございます)






加筆修正 20091101
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