コホンと誰かが咳払いをしました。そして、それを合図として皆さん私に視線を集めてきました。
自然と龍の服の裾へと力がこもっていく。いつになってもこの視線は馴れません。


「えっと、今日のお昼はありがとうね」

「は、はい」

「それから昨日の発言は悪かった…sorry」

「き、気にしてないので大丈夫、です…」


そう言いながらも自然と彼らの視線から離してしまう。ああ。たぶん私は失礼なんですね。
そんなことを思いながら前を向けばちょうど目の前にいたポニーテールの先輩と目が合いました。一瞬だけ先輩も目を見開きましたが、すぐにニコリと優しい笑みをくれました。一気に頬へと熱が集まるのがわかり、わたわたと視線を逸らします。
な、なんだか気恥ずかしいです…!


「そーいや自己紹介してないねぇ。じゃあ自己紹介といきますか!」

「おっ!いいじゃねぇか慶次!やろーぜ!」

「貴様らは毎度毎度懲りもせず…」

「そう言わずにやろうよ元就!」


そう言いながらも笑みを浮かべる先輩を見て、やっぱり仲がいいんだとわかりました。
そんな姿が良いななんて思う私がいて、一瞬…いえ心の中で否定してしまいました。
あれ?自己紹介とはもしかして…私も入っているのですか?えっ、えっ!あの、どうすれば…!!


「じゃあ俺からだな?
俺は婆裟羅学園2年伊達 政宗。伊達corporationの次期社長で、趣味は料理だ。Ahー…部活はやってねぇ」

「次は某でござる!
某は婆裟羅学園2年真田 幸村でござる。武田道場の次期跡取りで、趣味は剣道でござる!某も部活は入っておらん!」

「はいはーい!俺様の番だね
俺様は婆裟羅学園2年猿飛 佐助。茶道家の次期跡取りで…趣味は音楽鑑賞かな?俺様も部活は無しねー」

「じゃあ俺だね
俺は婆裟羅学園2年の前田 慶次。建築会社前田の跡取りで、趣味は花見だね!部活は助っ人参加だなー」

「俺か?次は…
俺は婆裟羅学園2年、長曾我部 元親。水産加工業者の跡取りで趣味は釣りだ。部活は入ってねぇ」

「我で最後か…
我が名は毛利 元就。婆裟羅学園2年だ。書道家の跡取りで趣味は読書。部活は入っていない」


……み、皆さん有名会社の跡取りさんばかりです!ど、どうしましょう!私、場違いじゃ…!(お前もある意味ですげーよ! by龍)


「次は陽榎だな」

「うぇ!あ、はいっ!
私は桜花学園1年の小向 陽榎です。えっと、父は小説家で母は女優です。しゅ、趣味は裁縫…家事です。部活は入ってないです」


そこまで言うと皆さん黙ってしまって。
えっ…わ、私何か変なことを…!?


「小説家ってもしかして…小向 孝司先生が父親…?」

「それに女優って…母親、小向 奈美さん?」

「えっと、あの、はい…」

「っ!それでは小向 夏樹殿が兄上でござる!?」

「そ、そうです…」


やっぱりそれだけ言うと皆さん固まってしまいました。
う、うぇ…!どう、どうすれば…!

陽榎は分かってはいないが、小向 孝司といえば小説家でも世界に通用するほどの強者であり、母親の小向 奈美といえば世界的有名女優であってファンも数え切れないほどいる。
ましてや小向 夏樹といえば婆裟羅学園では知らない者などいない。
なぜなら学力を見れば学年1で、体力は底なし。容姿抜群で、女子からの圧倒的ファンがいるくらいである。
その上、飾らない性格は先輩、後輩関係なく人気で政宗たちも憧れているくらいだ。
その妹が今、目の前にいるのだ。驚くのも無理はないのであった。


「全然似ていないな」

「(ビクッ!)そ、そうですね…」


不自然に体がビクついてしまった。
この言葉には慣れていますが、直接聞くとやっぱり辛くて。
もっと似ていたらなんて昔はよく思いました。
うぅ。やっぱり辛いです。


ポンポン

「似てなくてもいいと思うよ。陽榎は陽榎なんだからさ!」

「えっ、前田先輩…?」


頭に優しい感触がきたと思うとそれは前田先輩の手でした。
あったくて大きくて、太陽みたいな手なんて思ってしまった。
ふと前田先輩の顔を見るとなぜか不満そうな顔をしてました。


「陽榎…前田先輩はやめてほしいねぇ。俺たち違う学校だろ?」

「(そうゆうことですね!)は、はい。じゃあ、前田さん…でよろしいですか?」

「(気がついてない!?)あ、うん。今はそれでいいよ…」


何ででしょうか?前田さん、元気が無くなってしまいました。
うーん。疲れたんですね。

龍のお友達と自己紹介できて良かったです!



改めまして自己紹介
(陽榎が天然でよかったぜ)
(どうかしました?龍)
(なんでもねーよ)
(??)






加筆修正 20091101
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