幽霊が見えた日





確かに、俺は見えていた。

二ヶ月にフラッと視界に映った立海では見かけない珍しいブレザー。
それも俺が、俺達が部活をしている時間だったからこそ不思議に思った。
こんな時に来るってことは誰かのファンかと思ったし、他校生が入ってくんなよな!とも思っていた。
だからがつんとジャッカル先輩と行こうと思ったんだ。(なんかあった時の問題はジャッカル先輩になすりつければいーし)
そんな簡単な気持ちでいて、ジャッカル先輩を誘いに先輩の方へ歩いていって事の説明をしようとしたんだけど、その説明中に驚きの言葉がジャッカル先輩から返ってきたわけ。


「なぁ赤也…」

「なんスかジャッカル先輩?」

「その、他校生がどこに居るんだ?」

「へ?なに言ってんスか!!??あそこにいるじゃないですか!!!」

「わりぃんだけど…あそこには居ないぜ、他校生」

「は!!??」


思いもよらないその言葉に俺はどうしてなのかと驚いた。
確かに俺にはしっかりと見える。
今ジャッカル先輩が指差す方にその他校生が居るというのが。
けどジャッカル先輩は見えないという。
そんな馬鹿な事があるわけない。
だけどジャッカル先輩は仁王先輩や丸井先輩たちとは違ってそういった変なからかいとかはしないから、今言っている発言は嘘じゃない。
じゃあ一体アレは何なんだよ…!!
俺には見えているのにみんなには見えないってか。
だけど考えてみればおかしいよな…。
だって他校生だぜ?
本来は入っちゃいけない学校にあいつは誰にも注意されずに入って来たのか?
ぜってーにありえねぇ。
立海じゃあまず考えられねーよな。
じゃああいつは…。


「あ…」


俺は疑問や疑惑が交錯しながらその他校生を見やれば、立海生がその注意していた他校生をすり抜ける瞬間を俺は目撃した。
おい、アレってまさか…−−幽霊…。
ありえないことが目に映ったものだから、何度も目を瞬きさせてしまう。ありえねぇ。今まで霊感なんてものは俺には存在していなかった。
なのになんで急に見えるんだよ…本当に非現実過ぎるんじゃねーか?
ぐるぐるとそんなわけのわからない奴が回っていて、気がつけばそこを食い入るようにして見て俺は固まっていた。
当然、幸村部長のきつーいお仕置きと真田副部長の鉄拳制裁が待ってたのは言うまでもない。(全部これも幽霊女のせいだからな!)


その幽霊が見えるようになってからというもの、奴の存在はそれとなく気になっていた。
だから、ばれないようにいつもチラチラと見ていたわけなんだけど、何故かわかんねーけどその幽霊は俺たちに付き纏っている。
別にそれがミーハーっぽいとか、煩い奴だとか、嫌な奴だなーなんて思うような奴ではないのに俺たちに付き纏う。
初めは誰かに恋してるのかと思ったけどそうでもねぇみたいだし…。(失礼だけど幽霊が人間に恋したところで報われないしな)
最初はいるなーくらいにしか思ってなかったけど、ここまで付き纏われちゃ俺だってさすがにイライラしてくるものだから、二ヶ月経ったあの日に俺はがつんと言ってやった。
あの日はたまたま三年の教室に行ったんだけど、そーしたらこれまた偶然にも丸井先輩と仁王先輩が廊下を歩いてたんだよ。
声をかけようと思えば例の女幽霊が居るから、さすがにイラッときて、早く先輩たちを教室に向かわせてその後でがつんと言った。
面食らった顔をするもんだから、少なからずざまあみろと思ったんだよな。

けど、この時の俺は知らなかったんだ。
この行動こそがあいつの好奇心を働かせてしまうなんて。

あの時の俺はなにを考えてたんだよ…!!






20120627

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