−−ガッシャーン!!!


机の上にある花瓶を思いっ切り床にたたき付けて、ものを至る所に投げる。
床や壁、家具などに当たって、割れたりしたりする。
それでも、それが気にならないくらいにイライラする。
これも全部全部あの人のせいだ…!


「止めてよ…!」


頭の中で何度も何度も反復される謝罪の言葉。
はっきり聞いたの今回が初めてかもしれない。
思い返せばみんなの謝罪を聞く前にいつも遮ってた。
だからもう聞かない台詞なんだって考えていたのに…!
なんでいまさら聞かなきゃいけないの?
そんなことは聞きたくないのに!
私は私は…!


『なんで、なんでなの!?友達だって言ってくれたの、嘘なの?』

『信じて…!信じて!!私やってないよ!』

『私が忍だからいけないんだ…!薄汚れた私なんていらないんだ!』

『こんなのが付いてるからいけないんだ!』

『もう、やだ…!なんで私は生きてるの!?』


思い出したくない過去が壊れたビデオテープのように再生されていく。

嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!

思い出したくなんかない…!
いまさら何を思えというのよ。
私はずっとずっとずっと、こっちでは一人ぼっちだったんだ。
信じてって言ったって、転入生とか、過ごしてきた日々だけで私が悪くなった。
それ以外にもボンゴレの同盟国であった私たちの忍里は、元からそういう人間たちなんだってレッテルを貼られていじめられた。
誰ひとり手なんて指し伸ばしてくれなくて、ずっとずっと私は真っ暗闇にいた。
苦しくて、苦しくて…忍の私がいるからいけないんだって思った。
だから右肩にある忍の証をずたずたに掻きむしった。
それでも止まないイジメをみて、心身ともに疲れたの。
なんで私なんだろう、なんでみんなあんなにも楽しそうなんだろうって思った。
ボンゴレも黒曜もヴァリアーもキャバッローネも、みんなみんな楽しそうで怖かった。

だから死のう、そう考えたのに。

雲雀さんに殴られるとき自分からわざわざ急所に当たったのに…目が醒めたら病院のベッド。
なんで死ねないの?なんで生きてるのって自問自答までした。
周りにいる沢田さんたちなんて見たくもない。
私なんてゴミなんでしょ。
仲間じゃないんでしょ…!


「はぁ、はぁ、」


息が切れてしゃがみ込めば血の匂いがしてようやく思い出す。
私、血だらけだった。


「着替えなきゃ…」


フラフラとなる身体をどうにか抑えてゆっくりゆっくり洗面所へと向かう。
ドアを開けて、セーターとワイシャツ、スカートを脱ぐ。
ゆっくりと洗面台に取り付けてある鏡を見れば、あ…


「酷い身体…」


思わず嘲笑してしまうほど汚い身体だった。
全身が−−傷だらけ。

所々にある火傷は沢田くんとザンザスさん。
切り傷は山本くん、スクアーロさん、ベルフェゴールさん。
タバコの跡は獄寺くん。
打撲傷は笹川先輩、雲雀さん、ルッスーリアさん。
蚯蚓腫れはディーノさん。
銃の傷はリボーンさん。
他の傷だってみんな、みんながやった傷。

もうイジメが無くなって二ヶ月も経っているのに消えそうもない傷を見るとどんどん泣けてくる。
私、こんなにも殴られていたんだ。
それがとても悲しみを呼ぶもので、ああやっぱりダメだよ。

生きる幸せや、希望も失ってしまった。
ましてや女としての幸せだけじゃなく、人間としての幸せを失った私はどうすればいいんですか?
−−だれか、教えください。




(すべて嘘だと言ってよ!)






20101230
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