本日は快晴!
そして、変態なお兄ちゃんも元気です!


って…全然うれしくないですぅうぅうぅうぅ!!!!


「ハァハァ…!今日も素敵です心!!」

「なぁなぁ柿ピー」

「…なに、犬」

「骸さんの変態度上がってね?」

「それ、言っちゃダメだよ」

「なにを二人でこそこそ話しているんですか!!さっさといかないと心が逃げてしまうじゃないですか!行きますよ犬、千種!!」

「は、はいれす!!(心ちゃん可哀相…なんらけど)」

「はあ…(だから心さんが嫌がるんですよ骸様)」


後ろを振り向けばお兄ちゃんが犬と千種になにかを言っていて、このうちに逃げなくちゃと思ってダッシュで逃げます。
それでも後ろを向けばクフクフ笑って追い掛けてくるお兄ちゃんとなんだか嫌顔な犬と千種が追い掛けてきていました。
すっごい嫌なんですが、そんなこと叫んでるヒマもありませんし、体力がお兄ちゃんより少ない私は必死に逃げるんです。
私絶対に日本に来てからダッシュする回数が増えてますよ!
それもこれも全部お兄ちゃんのせいです。
ああ、普通だったお兄ちゃんはどこにいったのでしょうか。
神様、お兄ちゃんからとりあえず逃げさせてくださーっい!!


*********


「はぁ、はぁ…!」


必死に逃げてようやく一人となれました。
ですが、体力のない(一般人よりはありますが)私には相当きついものがありました。
ああ、本当に毎日がこんなに濃いなんて思いもしませんでしたよ…!
しかし一体ここはどこなんでしょうか。
必死に走っていたためにこの場所がよくわかりません。
う、ううん…もしかして、いや、でも、やっぱり、一般的いうこれは『迷子』というものではないでしょうか。
この年齢で迷子とは厳しいものがあるのですが…!
どこかの河川敷なんですが…一体どこなんですかーっ!?


「うぅ…!絶対にお兄ちゃんのせいです…」


恨めしく思いながら唸っていると余計に虚しくなります。
ここで大人しくしていれば千種と犬が迎えに来てくれるのでしょうか、なんて思うものの…お兄ちゃんがセットでくるとまた逃げなくてはいけないんですよね。
はぁ…どうしましょう。
ため息をついて川の水を覗きこめば、なんて情けない顔をしている私がいるんでしょうか。
目を閉じて、心を落ち着かせてもう一度目を開く。
その視界に誰かが映っていてくれることを願ってなんですが…−−え?
思わず水面と後ろを見てしまったのはしかたがないんです。
だって、だって人が映っていたんですから!


「全く、めんどくさい相手だよ」

「−−!」

「絶対に帰ったら文句言わなくちゃね」

「あ、」

「む?」


振り返って見えたそれは黒。
黒、黒、黒−−顔はフードを被っているため確認は出来ないんですが、そのぷっくりとした唇は女の子と変わらなくて、でも声は低めなので(中性的なのでどっちかって言ったらです!)男性だとわかります。
こちらを向いた男性を見るとなぜか胸がきゅんとなってしまいました。
な、なんですかこれ…!


「なにか僕に用かい?」

「え、あの…!」

「言いたいことがあるの−−はぁ…君どっかに行ってくれない」

「え、」


有無を言わさない言葉に固まってしまいます。
なんでそんなことを彼は言ったのか、なんてことはどうでもいいんです。
ただ、嫌われてしまったかと思ったんです。
怖くて思わず手を伸ばせば、その手を思いっ切り掴まれて引っ張られてしまいました。−−って…え!?


「全く、素直にいうことくらい聞いてよ」

「あ、え…!」

「目、閉じてくれない?」

「へ!?」

「大丈夫。−−しかたないから僕が助けてあげるよ」

「ーっ!!」


それだけ言うと彼は私の頭を自身の黒い服に押し付けてぎゅっと抱きしめてくれました。
バクンバクンと音を激しくだしている心臓が彼に伝わっていないか心配で心配で…!
ああ…なんだか私おかしいです。
なんでこんな気持ちになってしまうのか全くわかりません。
ただ、彼の心地好い体温に落ち着いてしまい、私が私ではないとわかります。


「終わったよ」

「え、」

「もう離れていいよ」

「あ、は、はい!」


さっきまで握っていた服を離して、もう一度彼を見ればまた心臓がバクバクしてしまいました。
それを確認するよう服の上から心臓を触ればやっぱり激しくうっていた。
体中の血が沸騰してしまうのではないかと思うくらいに体が熱くなってしまって…ああまさか私は…。
そんな疑念が浮かばないわけではないですが、なにぶん初めてなことなので心配になってしまいます。


「じゃあ行くから」

「え、あ…」

「じゃあね」


ふわりと風に乗って去るかのように、彼は川岸の土手を駆け上がり屋根を飛び越えて行ってしまった。
その姿が綺麗でずっと見続けてしまったのは、いけないことなんでしょうか。
いえ、きっとこれはいけないことじゃないんです。
だってこれは…−−。



恋前線が近づいた日
(見つけましたよ心!)(はぁ…)(心…?)(なんか様子おかしくない柿ピー)(そうだね)(、王子様…)(((え)))






20110326
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