好きな彼女はツンデレ。
10代目や野球馬鹿から言わせるとオレもそのツンデレらしいが…。
オレにはわかんねーけど千代曰くオレはでれでれボーイらしい。
ああ!!やっぱりよくわかんねー!!!
でれでれボーイ
(最高の日)
本日も晴天なり、なんてありきたりな言葉がオレの脳裏に掠める今日。
なんと珍しく千代から遊ぼうという誘いがあった。
そりゃあ普段の態度や言動を見ればその千代の誘いは奇跡に近く、どうしようもないほど喜びに溢れるものだ。嘘や冗談じゃないって左手から伝わる温もりがそれを示していて、ってなに乙女臭いこと吐かしてんだよオレは!!
「お、おい千代…」
「なんだ獄寺」
「どこ、行くんだよ」
「……商店街」
「おい。その間はなんだ。まさか考えてなかったのかよ」
「〜〜!!!うるさいっ!とっとと行くぞ!」
オレの言葉が確信をついていたのか、千代は顔を赤くするとオレと繋いでる手を引っ張りどんどんと先に進んで照れ隠しをしている。
付き合ってわかったんだけどよ、コレは本当に照れ隠しだ。
なんだかんだしながらも手を離さない千代に笑みが浮かんだのはオレだけの秘密だ。
それに、そろそろ秋に入る9月にはこの体温が調度いいってのがあるからかもしれねーけどな。
*
*
*
ゲーセンにショッピング、ケーキバイキングまで回ればいつの間にか時間は過ぎ、もう8時を回っていた。
流石に千代の家のお母様が怒ると思い「そろそろ帰るか」なんて言えば曖昧な返事が返ってきて、なんだか千代が千代じゃねー。
いや、今日の千代はたぶんいつもよりおかしい。
普段なら送るって言えば「恥ずかしいから来るな獄寺!!」とか言って最終的には顔を真っ赤にしてオレに送られるのに、なのに今日はそれがなかった。
なんでだ?なんて思い視線を向ければ、それに気がついたのかキッとオレを睨んできやがった。
まぁ、そんな姿も可愛いと思えるんだけどな。
「ジロジロ見るな!」
「うっせーお前がおかしいから心配してんだろーが!」
「なっ!?わ、私は普通だ!!」
「普通なわけねーだろ。なんか我慢してんのか?」
「してない!本当に普通だ!!!」
「そうかよ。まぁなんかあったら言えよ。力になるからよ」
「!!! きゃ、キャラが違うぞ獄寺!!!」
「お前の前限定でな。…家着いたぞ」
「あっ…」
気がつけばもう千代の家の前で、繋いでいた手を自然に解く。
そうすればお互いに見つめ合ってまた明日って言えばいつもはさよならの合図。
なのに今日は違った。
それは千代がオレのセーターを掴んだままだからだ。
「おい。帰れねーだろ」
「…ーー」
「? なんだよ?」
「ーーだから!誕生日おめでとう隼人って言ってるんだ!!」
「はっ?」
ポカーンと口を空けていれば、目の前にいる千代は真っ赤で、やっと千代の言っている意味を理解する頃にはオレも顔が真っ赤になっていた。
じゃあ今日一緒に出かけたのも、ずっとオレに付き合ってくれたのも、オレを祝うため?
最後に名前を呼んでくれたのも、やっぱりオレを祝うため。
グイッ
「ご、獄寺!?」
「可愛すぎなんだよ!ツンデレ女!」
「うるさいっ!抱きしめるなでれでれ男!」
「いいんだよ。オレは千代が好きなんだからよ」
なっ、って笑えばはにかみながら一緒に微笑んでくれる千代。
やっぱり、千代はオレの最高の彼女だぜ。
彼女はつんでれガール
(でれでれするなっ!)
(誕生日だからいいだろーが)
(黙れっ!)
20090920