さくらの香りが自然に鼻について気分は最高。
こんなとき彼がいたならば必ず花見の時季でござる!三色団子が食べたいでござるーっ!なんて目をキラキラさせながら言うんだろうなと思うと笑えてしまう。
思考回路が単純というかわかりやすいと言うか…それが幸村のいいとこなんだろうけど。
そんな素晴らしい幸村は絶賛補習中。
理由は毎回の如くテストで赤点をとったから。
あれほど授業中に寝るなって言ってるのに寝るからよ。
暇だ暇だなんて思いながら窓から見えるさくらをバックに携帯を使う。


「幸村のばーか。後でクレープ奢ってもーらお」


かちかちと携帯でリアルタイムも書いていけば途中でため息がでる。
つまんない。
幸村がいるから毎日が楽しいのに、その幸村がいなきゃ意味ない。
剣道やってるときの幸村も、伊達くんと喧嘩する幸村も、弟みたいな幸村が急に男になる瞬間も…幸村がいるから楽しい空間になるのに。
補習なんかで彼女待たせるなよなー幸村のばーか。
腹立たしく思いながらも惚れた弱みなのか凄くは怒れない。

キーンコーンカーンコーンと音が鳴る。
補習の終了を表す鐘が鳴った。ああやっと終わったんだな、「幸村あああ!廊下を走るでない!!!」「すみませぬぅうぅうぅお館様ああぁああ!!!某急いでおります故、ごめんっ!!!!」ってなにやってのよ幸村。
でもあの幸村がお館様のいうこと聞かないなんて明日は雨かなーなんて思う。
雨降ったらさくら散っちゃうし、じめじめするしいいことないじゃない。


「千代ーっ!待たせたでござるーっ!」

「ホントにね。今日帰れるの?」

「無論!では帰りましょうぞ!!」

「む、…なんか嬉しそうね」

「そうでござるか?」


ニコニコといつもの何倍も幸せそうな顔をする幸村を見て私は頭を悩ませる。
だいたい基本幸村は補習を終わった後は灰になっていて「頭が動かぬ…」「もう、無理で…ござるばばっ…」なんてわけわからないことをずーっと、延々と言っているのに今日はそれがなくて…熱でもあるんじゃないかって思う。
いや、待って。
この幸村が風邪やましてや熱なんてだすわけがない…!
健康とうるさいほどの叫び声しかあとおまけで体力くらいしか取り柄のない幸村がそんなことあるけない。
でもだったらなんで?


「幸村ーどうしたのさ本当にー」

「む、俺は普通でござる」
「そうかな…?なんか幸せそう」

「それなれば先程のことが…!」

「さっき…?って補習中のこと?」

「あい!」


ニカリと太陽みたいに笑う幸村にドクリと心臓が高鳴る。
この笑顔が私好きなんだなって改めて思っちゃう。
ってそんなこと思ってる場合じゃなくて、でも幸村の笑顔見てるといろいろな負の感情なんて吹っ飛んじゃうし、なんていうか今からわくわくしちゃって…!
あーっ!幸村といるといつもいつもそんなふうに思っちゃって、私って結構末期じゃない。
別にそれが嫌とかじゃなくて、ただこれじゃ幸村を甘やかしたりとかしてるんじゃないかってことで、断じて惚気ているわけじゃ「千代?」!
そ、そんな目で…捨てられた子犬みたいな目で見ないでーっ!!


「聞いてるよ幸村」

「そうであったか!」

「(う、かわいい!)それで…」

「うむ。先程校庭で見事なさくらが咲いていたのだ」

「へー(なんとなく、予想がつくわ…)」

「花見の時季でござるなーと思い、また花見団子が美味な時季だと思ったのだ!」

「そう(やっぱり…)」

「そう思ったら千代が横で『がっつきすぎ』と苦笑してる姿も浮かんだのだ」

「!」

「俺はその時酷く幸せ者だと感じた」


ぎゅっと握られた手が、熱くて頬にだって自然に紅みが増すのがわかる。
なななによっ!
急に真剣な顔しちゃうなんてっ!!
変にドキドキして私、やっぱり幸村にべた惚れなんだって思っちゃう。
それに、さくらを見て幸村もそう思うなんて、やっぱり嬉しい。
ああもう!
やっぱりかっこいい。
普段は可愛くて仕方ないのにこういうときだけかっこよくなるの、なんかずるい。


「あのね、幸村…」

「なんでござるか?」

「私もさくら見て幸村思い出したよ?」

「ーっ!」

「同じだね?」

「ああ、同じだ」


ふわりふわりとさくらが散る中で見えたのは誰にも負けないくらい輝かし笑顔をした貴方で、そんな優しい貴方に包まれる私は酷く幸せもの…−−。





(クレープ帰り食べよ)
(あい!俺はバナナクレープでござる!)
(私はイチゴクレープ!)
(一口貰ってもいいでござるか!?)
(うん!)






相互ありがとうございます!
瑛様のみお持ち帰り可

20100525
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