俺は、この茶屋に
旦那からの"おつかい"を
口実に毎日のように
ここに通ってる




最初は、俺が頼む団子の量に驚いていた彼女だが


旦那の事を話すとクスリと笑って納得してくれた




今思えば、あの時の笑顔
可愛いかったな〜
なんて思ったり




そんな事を思う程に
俺は彼女を溺愛しているのだ


ほんと、
忍の名が聞いて呆れる








「あら?あんた、真田の忍じゃないかい?」








後ろから声がしたから
振り返って見ると








「…げ、前田の…」


「よう、何であんたここにいんの?」


「それはこっちの台詞、
ここ武田領なんだけど」


「…ん?俺?俺はなぁ」


『慶次!?また遠い所からいらしたんですか?』


「あんたに会いに来たんだぜ?千代」








は?"慶次""千代"って…


二人、
名で呼びあってるわけ?


しかも、"あんたに会いに"って…




俺は、自分の中で沸々と
怒りが込み上げて来るのを感じた








「ねぇ、二人って、どんな関係?」


『慶次は最近店の常連さんになってくれて』


「だって、千代に会いたくてさ」


『まぁ、慶次ったら』








そう言って、千代は頬を赤らめた


そんな千代に、俺は怒りを覚える


俺以外にそんな顔をするなと、俺は心の中で叫んだ








「俺、千代の事が好きなんだよ」


『えっ…///』








何言ってんの?
俺のいる前で告白?



俺はその場から逃げ出したくなるのを必死で堪えた


此処で逃げたら男が廃る








『嬉しい…でも…
ごめんなさい』








彼女のその言葉に俺は
"ほっと"ではおさまらないほど安心した



しかし



次の言葉で新たな不安を抱える事になる








『私、好きな人がいるんです』


「そっか…その恋叶うといいな!」


『本当に、ごめんなさい』


「いいって、もう、じゃあな!また、来るから!」


『ありがとうございました』








彼女は、
頭を下げて見送った





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