あの日から小十郎は毎日のように私を連れ出してくれた。

春には花畑、夏には川、秋には紅葉している山、冬には雪を凌げる洞窟──私たちは様々な場所で遊んだ。

そうしている内に季節は2周していた。





私たちはまた花畑で遊んでいた。

2人で花畑の中に座り花で王冠を作っている。


「なぁ、千代」


小十郎は完成した王冠を私の頭に乗せながら口を開いた。


『なぁに?』





「ずっと一緒に居ような」





そう言う小十郎は優しい笑みを浮かべていた。


『うん!ずっと、ずっと一緒に居よう!約束だよ!』


私はそう言って小十郎の手をとった。




約束は簡単に崩れることとなった。




その数日後のことだった。

その日もいつもの様に小十郎は私を連れ出してくれた。でも小十郎はいつもと雰囲気が違くて何かあったことは明白だった。


『小十郎…どうしたの?』

「義姉上が若君の…梵天丸様の乳母になった。その関係で片倉家が武家になることになった。俺も…武人として城に登る。片倉の屋敷と行き来するからまた遊べるが今のように毎日会うことは出来なくなる…」

『…そっか…』



小十郎が城に登るようになってからは言われたとおり会う回数が減った。それでも3日に1度は会えた。小十郎は城で武術の稽古を受けている様で会うたびにどこか疲れた顔をしていた。



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