三浦 ハルは気になる男の子がいた。
その男の子は必ず朝、彼女の家の塀を歩いていく。
それは毎日毎日、彼女が歯磨きをするときに見る。
ぷにぷにした頬に小さな背、子供特有の雰囲気が彼女のハートを鷲掴みした。
話したい、話したいという欲求は日に日に増していき、ついに彼女は行動しようと決心をした。
しかし、彼女は知らない。
その男の子は最強・最凶・最悪と言われるヒットマン、リボーンだということを…。
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「ヨッ、ホァッ」
「え!?」
蒼空は目を見開きながら塀を歩いている少女に視線をやった。
綺麗な黒髪をポニーテールにした可愛い少女−−三浦 ハルだ。
彼女は変わっていた。
現に今が証拠だ。
告白するなら同じ土俵にしないといけない。
確かにその発想は間違ってはいないが、塀など登ってまで同じ土俵に立とうというものはめったにいないだろう。
さすがに蒼空もその発想にはついていけない。
いや、ついていけないのが当たり前なのだが。
「こんにちはーーっ」
「ちゃおっス!」
「私…三浦 ハルと申します」
「知ってるぞ。ここんちの奴だろ?」
ちょこんとその小さな手で示す先は彼女、三浦 ハルの家だ。
ぽわぁーんと胸いっぱいに広がる思い。
いいようのない幸福感が彼女を襲う。
うれしい、まさかこの子が知っていたなんて−−。
「お友達になってくれませんか?」
「いいぞ」
「はひーーっ」
「えっ!?」
恋する乙女のように頬を真っ赤に染めたかと思えば、感激のあまりかクラリとその身を塀から落としそうになる。
当然目の前で人が落ちそうになっていて蒼空が驚かないわけがない。
むろん、リボーンだけは驚いていないが。
−−しかし、ハルにその心配は必要なかった。
「やっ、たあーっ!!」
「おお!」
たん、そんな軽やかな音を発てて着地をする。
こう見えても彼女は新体操部だ。
塀から上手に着地するなど朝飯前である。
そして、その姿に思わず蒼空も賞賛してしまう。
そう、これが全ての引き金であった−−。
秀才少女
(勘違いがいっぱい)