今はお昼休み。
友達と一緒にお弁当を食べていて、でもお話の内容は朝のことばかり。
佐助さんこんなにも有名なんだ。
でも、友達もすごく祝福してくれて嬉しい。
そんなことを思っていると携帯電話がチカチカと光りだして…。


「電話だ…。はい」

『陽榎ちゃん?俺様だよー猿飛です』

「さ、佐助さん!?」

『あ、名前見て出てないんだ。ちゃんとみてね(他の男だと嫌だし)』

「はい!どうかしました?」

『んーっ…陽榎ちゃんに会いたくなっちゃったんだ…』

「え、あの…!」


携帯の向こうからでもわかるかのように佐助さんの寂しさが伝わってくる。
そうすると自然に私にもその寂しさが伝わってしまい、切なく、胸が苦しくなってしまい、今すぐに佐助さんに会いたくなってしまう。
男子校、女子校に通っている私たちなので女の子の心配はないのですが、やっぱりそれでも離れているという寂しさはなくらなくて、会いたいな佐助さんに。


『おーい、陽榎ちゃん?』

「あ、あの…!」

『ん?』

「私…佐助さんとずっと傍にいたいなーなんて思ってしまって…!」

『! え、お…』

「そ、そんなの重いですし、無理だって分かってるんです!!けど、けど少しでも佐助さんの傍にいたい、です」


いつもなら会える距離が、触れ合える温もりが、見れる優しい笑顔がなくてすごく寂しい。
たった本当にたった4時間見れないと不安。
た、確かに授業中は勉強に集中していますが、でもやっぱり頭の片隅では考えちゃう。
こういうのは重い。わかっているのに、本当に私は佐助さんに愛されているって分かってるのに、やっぱり優しすぎて不安になっちゃう。
私、彼女失格かな?


『もー、なんで…』

「っ!」

『なんで陽榎ちゃんはそんなにかわいいの!!!!』

「え、?」

『俺様だって、ね!陽榎ちゃんと朝から夜までずーっとずーっと一緒にいたいって思ってる!』

「え、その…あの!」

『それが重いなんて思う訳無いでしょ!俺様だって同じくらい陽榎ちゃんのこと愛しちゃってるんだから!!』

「ーーっ!!!」


大きな声で叫ばれてだんだんと私の顔が紅くなっていくのがわかってしまう。
好き、好き、好き。
どうしようもないほど佐助さんに溺れてしまっている。
佐助さんにそれを伝えようと口を開いたとき、べきゃとそう、なにかが壊れる音がして教室の入口を見れば、ひぃ!
ど、ドアが壊れています…!
友達のほうを向けば「あんたら本当にバカップルね」や「あー今の会話教室でしちゃダメでしょ」などと視線をそらされて、え、えっみんなドアのことは…!?
パニックになってキョロキョロと辺りを見てドアに触れないよう触れないよう「陽榎」ひいぃ!
怖い、この地に這うような声が怖くてゆっくり振り返れば、普段は綺麗なその顔を、えっと…!般若!!般若みたいな顔をして睨むかすが先輩がいました。
そして、その睨む先は携帯…ぜ、絶対に佐助さんにだあぁあ!!!


「貸してくれ陽榎」

「あの、その…」

「悪いな陽榎」

「えっ!?(取られたぁ!?)」


どんな早業を使ったのか、気がついたら携帯電話を取られていました。
ど、どうすれば…!いきなりかすが先輩がでたりなんかしたら佐助さん驚くのでは「貴様!佐助!!」もう話していたんですかーーっ!?


「お前という奴は…!」

『あれーかすが?陽榎ちゃんは?』

「お前と話したくないそうだ」

『まーたそんなこと言っちゃって…俺様に嫉妬してるんでしょー陽榎ちゃんと付き合ってるから』

「ーっ!ああだとしたら貴様今すぐにでも…!」

『別れないよ俺』

「!」

『別れない。俺は本気だから』

「ちっ(佐助が本気になるなんてな)」

『まあそれに…』

「?」

『かすがでも俺様たちの仲の障害にはならないしねー!俺様たちラッブラブだし!』

「(ブッチン)」


なにを話しているかはわからなかったんですが、かすが先輩が一瞬、一瞬だけ私を見て微笑んでくれた。
でもそれも直ぐに変わってまた、また般若の顔になっちゃいましたーっ!?
うそ、うそ、!
なにが起きたのかわからなくて、みんなでかすが先輩を見ていれば携帯を机に置いて…?特にないのかな?


「佐助、殺すっ…!!」

「かすが先輩ストーップ!!!!」

「離せ!貴様ら!!!!」

「待って待って!そんなことしたら陽榎の携帯壊れるって!!」

「佐助を殺さねば気がすまん!!」

「それ殺す以前に陽榎の携帯が先に壊れます!!」


何故そうなったのかはわからなかったんですが、かすが先輩は急に握り拳を作ったと思ったらいきなり携帯に殴りかかろうとして、驚きに目を見開いていれば友達がみんなでかすが先輩を止めていて、って佐助さんなにをしたんですかあああ!!??
困惑しながら急いで携帯をとり、耳に当てながら意を決して「佐助さん、」と聞けば『陽榎ちゃん!』と明るく嬉しそうな声が聞こえて…が、我慢です!


「な、なにがあったんですか…?」

『いやーちょっとかすがをからかったんだけど…酷い?』

「…はい」

『アハーごめんね』

「いえ大丈夫ですよ…そ、それよりも…」

『? もしかして、嫉妬しちゃった?』

「〜〜っ!は、はい」

『大丈夫!俺が好きで愛してるのは陽榎ちゃんだけだって!!』

「本当、ですか?」

『ほんと、ほんと!ねぇ陽榎。愛してるよ』

「っ!さ、佐助さん!」

『あれ?陽榎ちゃんは言ってくれないの?』


『俺様悲しー』なんて寂しそうに言う佐助さんの声を聞くと私、とことん弱いな。
佐助さん、今、そういえば初めて呼び捨てにされたな。
さっきまで嫉妬していたのに今は全然違う。
心が好きで埋まってしまうんだ。


「佐助さん、」

『はいはーい!』

「好きです、愛してます。今もこれからも…未来永劫に」

『!(これは、コレでくるね…!)』

「佐助さん?」

『なんでもないよ。陽榎ちゃん午後の授業頑張ってね』

「はい!」

『じゃあ…おっと忘れるとこだった』

「?」


なにか伝え忘れかな?なんて携帯を耳によくあてていれば向こう側からちゅっと小さな音がして…え、えっまさか…!
それが本当だとしたら恥ずかしくて、でも嬉しいような…!
もしかして私って破廉恥なのかな…!!


『えへへー俺様がキスしたのわかった?』

「、っ、は、はい…!」

『それじゃ頑張ってね』

「さ、佐助さん!午後の授業頑張って下さい!!」

『うん頑張るよ〜』


なんて声が聞こえるものの、今は心臓がバクバク状態。
意を決して携帯に向かってリップ音をだせば佐助さんからの返事がなくて心配になってしまった。
え、あっ…ダメだったか『陽榎ちゃん大好きーっ!』うえっ、えっもしかして喜んでもらえてる?
そう思うと真っ赤になってしまい…!


『俺様これで頑張れる!ありがとう!』

「い、いえ…!」

『じゃあ放課後ね!』

「はい!では放課後!」


そう言って携帯を閉じると自然と力が出てきた。
放課後まで頑張ろ。



携帯電話
(ったく。陽榎と猿飛さんって本当にバカップル)
(陽榎も口を開けば佐助さん、佐助さんだもんね)
(ったく猿飛さんには嫉妬を覚えちゃう)

(佐助てめぇ…!当てつけかよ!!)
(怒んないでよ龍ー。あー陽榎ちゃん可愛い)
(ったくhappyな奴だな佐助はよ)
(陽榎ちゃんに早く会いたいから午後の授業俺様頑張っちゃお!!)
((((はぁー…))))







20100329
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