僕は男で 君は女
それだけなのに
僕は いつもと違う僕になる
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「……ねぇ、ずっと傍に居なよ?」
「はい!雅様の傍にずっと居ます」
僕の専属使用人のはるはニコニコと笑い、恥ずかしげもなく僕にそう言った。
幸せそうな、はるを見て僕の心臓が煩く騒ぐのが分かる。
「……………馬鹿」
「ば…馬鹿ですか?」
困ったように眉を下げるはるに、今まで感じたことのないモヤモヤもしたものか僕の中で疼く。
何かの病気かと思ったが、はると話をしているときにだけ起こるその症状は、病気というには物足りない。
「雅様?」
黙り込んだ僕を不思議そうに見つめるはる。
「…………好き」
ポツリとその言葉を呟けば、僕の中の疼いていたものが消えていった。
そこで、モヤモヤの原因を知る。
「…………はる…好きって言って」
「!?」
目の前で、顔を赤く染めてあたふたするはるの両腕を逃げられないように掴み、顔の距離をあと数センチかという所まで近付ける。
いつもなら、こんな恥ずかしい行為を自らするなんて有り得ない。
けれど、はるのせいで僕は、どこかの頭のネジが吹っ飛んでしまったみたいだ。
「…ま……雅様が…………す…す…すす」
すを何度も言うはるは、恥ずかしさからか瞳を潤ませていて、唇は少し開き僕への言葉を発しようと震えている。
そこから視線を逸らせないのも、ネジが吹っ飛んだせいだ。
「……ねぇ、全然言えてないんだけど」
耳元でそう言えば、はるの肩がビクリと震え、僕は目の前の白い首筋に目を奪われる。
誘われるように首筋に口付け、細いはるが壊れてしまうくらい強く抱き締めた。
「ひゃっ!?雅様!」
そして、二人してバランスを崩し、後ろにあったベッドに崩れ落ちる。
はるが僕にのしかかる体勢になって、僕は、はるを見上げた。
「……あ…」
真っ赤な顔を隠そうとするはるの手を拘束し、視線を逸らさないまま、はるの頬を手で包む。
煩く高鳴る心臓に叱咤して、治まるよう強要しても、甘く響き続ける何かが邪魔をする。
上半身を起きあがらせ、はるの顔に近付けていく。
「…………はる…好き」
「………私も……好きです」
重なった唇は、甘く、柔らかく、僕の全てを溶かしていった。
僕は、男だから
特別な女の君に惹かれていく