夢で会えたら


 暗い闇の中。

 僕は君と手を繋いでいた。

 小さくて、ほんのり冷たい……君の白い手。
 この手が繋がっているのと同じように、君の今にも泣き出しそうな心も僕に伝わればいいのに……

 だけど、君は僕から躊躇なく離れていく。
 その泣きそうな、今にも破裂しそうな心を持って、君は寂しい笑顔を浮かべ、


「さ よ な ら」


 そう唇を動かし、少し躊躇しながらもゆっくりと手を離していって……


 ――そこで僕は、現実に引き戻されるかのように目を覚ました。視界に入ったのは白い天井。どうやら今のは夢だったようだ。

 だが、君が離れていった事は夢でも幻でもなかった。

 虚無感だけが今の僕を包んでいる。体を支えようと隣に手をそっと下ろす。ずっと冷たいままの傍ら。君がいなくなった証拠の一つだった。

 僕は君が好きだった月の映る窓に、そっと小さく呟く。

「君がいなくなる夢を見たよ……一体僕はどれだけ君を忘れられないのだろう」

 と冷たい何かを頬に伝いながら……

君の温もりが、今もいとおしい……

 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -