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▼ 大好きで大好きで大好きな貴方の為に、私ができる最善の方法

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「分かってくれるね?」
「…はい」

今私がいるのは大病院の理事室。
目の前には理事長。私の彼、ローの父親。
用件は至極分かりやすい。縁を切れ。誰と?ローと。

ローには輝かしい将来が待っていて、その隣に立つのはそれなりの女性であって然るべきでつまり私では、ない。
非常に分かりやすい。2時間ドラマか。

こういう時、ドラマのヒロインはどうするんだっけな。
虚構の世界に紛れ込んでしまったような現実味のなさに、私はぼんやりと考えた。
やっぱアレか、私にはあの人しかいないの!って駆け落ちするのが定番なのかな。

でも私は同意した。
だってこれは現実でしょ?
現実はいつだって残酷なのだ。

「理解力があって助かるよ」
「…」

目の前のテーブルに置かれた分厚い封筒を手にその場を後にした。
それは所謂手切れ金というヤツで、私が今手に取ったことで私とローの関係は金で揉み消されて消滅した。

酷い女だと思いましたか?
最低ですか?
私みたいな女はローに相応しくないですか?


…ローも、そう思ってくれることを願う。
金に目がくらんだ、最低でどうしようもない愛す価値もない女だと。


バカみたいに広い病院内を抜けてエントランスに出る。
見上げた空はとても青くて、私はただ貴方の幸せだけを願った。







【大好きで大好きで大好きな貴方の為に、私ができる最善の方法】
ねぇ、ロー。
だから貴方は前だけを見て進んでほしい。




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