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2P目 エース落ち
3P目 マルコ落ち


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「あ、ごめん」

なんてこった。
私はすごい現場に遭遇してしまった。
通い慣れたドアを開けると男女が絡み合いつつ縺れ合っていた。思わずごめんなんて謝ってそっと閉める。しばらくその場に立ち尽くした後、私はポツンと一つ言葉を落としてその場を立ち去った。

「あぁやっぱり」

やっぱりマルコ隊長は本気じゃなかった。
やっぱり私は遊ばれてた。
だってあなたは追いかけてさえ、来ない。



「ねぇどう思う?」

ひどいよね?と背中の親父に話しかける。誰のってエースのだ。
今日で3日連続の雨。マルコ隊長の部屋を、正確にはマルコ隊長の部屋の前を後にした私はそのままエースの部屋にやってきた。私は今、エースの背中に向かって一人で話している。なんでかと言うとエースが相手をしてくれないからだ。親友の大ピンチになんてひどいやつだ。もうお腹いっぱいになっても肉はやらん!無理やり食べてやるっ!そう決意して非常に不服だという視線を送る。

ベッドに胡座をかいているエースは珍しく本などを開いている。あのエースが。長雨って怖いな。いやもしかしたらエースが本を読むなんて気味の悪いことをするから一向に降り止まないのかも知れない。
じろりと背中を睨みつけると、親父がニヤリと笑っていて少し慌てた。わ、ごめん親父!親父を睨んだわけじゃないよ?

エースは尚も私に背を向けたまま無言。終始無言。時折パラリとページを捲る音とモビーを叩く雨音。ザァザァという音を聞いているとなんだか泣きたくなってきた。

くそう泣くもんかっ!
おまえ本なんか読めんのかよっと心の中で毒を吐いてそのまま背中に抱きついた。あぁ暖かいなぁ癒されるっ。
ぎゅうぎゅと抱きつくと、エースがはぁとわざとらしいため息を吐いて本を閉じた。

「で?アンどうすんだよ。別れんの?」

抱きつく私をそのままにエースは呆れたように口を開く。

「マルコが浮気すんのなんか今更じゃねぇか」

そうなのだ。そもそも私がマルコ隊長と付き合えたのも奇跡みたいなもので。好きだ好きだと喚く私にマルコ隊長はひどく面倒くさそうにこう言った。

「じゃあ付き合ってやるよい」

私は付き合っていただいていたのだ。マルコ隊長に。

「俺はやめとけって忠告したぞ」

1000回は言ったな。そう言ってエースはバチバチと私の手を叩いた。

「・・・いたい」
「忠告を無視したおまえが悪い」

「仰るとおりでございます」
「で?どうすんだ?」

どうすんだ?なんて面倒くさそうに聞いてくるエースの言葉には、どう考えてもさっさと別れろという呆れが込められていて。

「・・・だってスキだもん。別れたくない」

私はマルコ隊長が大好きだ。生まれて初めて好きになった言わば初恋の人というやつで。マルコ隊長の姿を探してはドキドキして、声が聞こえたらアワアワして、話しかけられたらお腹が痛くなるくらい緊張した。止められなかった。止められるわけなんてなかった。
エースの度重なる忠告を無視して私は無謀にもアタックを続けた。その結果、やっと手に入れたのだ。マルコ隊長の隣を。

嬉しかった。
恋なんて知らなかった私に、人を好きになる幸せを教えてくれたのは間違いなくマルコ隊長なのだ。


「じゃあ俺と浮気でもしてみるか」
「へ?」

さぁ今日は釣りでもするか、みたいな口調でエースは言った。




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【エース落ち】




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