▼ 条件反射
[ name change ]
「好きになったっ!付き合ってくれ!」
「は?」
わたしは赤髪海賊団のクルーだ。白ひげに用があるというシャンクスに指名を受けて一緒に船に降り立つと、なぜか宴になった。
初めて会ったけど白ひげはいいやつだな。嫌いじゃない。念のためシャンクスの隣に腰を下ろして、それなりに楽しんでいた。
「・・・」
「・・・」
「??好きだ!」
「や、分かった。もういいよ何度も言わなくて」
なに、こいつ。
わたしはシャンクスの隣に座り込んだまま、隣につっ立っている男を上から下まで確認する。
そばかすに、筋肉の、半裸。あぁ、変態か。なるほど。
「私、変態に興味ないの。他当たってよ」
変態というなら、隣にいるシャンクスで充分だ。
え?なんで?そばかすが首を傾げる。
わたしもつられて首を傾げた。なんで?がなんで?だ。
「なんで?」
「なんで?」
「ん?」
「ん?」
あぁ、アホなのか。そばかすに、筋肉の、半裸で、アホ。なんだ、救いようがないな。
隣でシャンクスが爆笑する。
「だははははっおいエース、全く相手にされてねぇじゃねぇか!」
うるせぇ!そばかすがウガっと牙を向いた。
キャンキャン、キャンキャン。うるさいのはあんたらだって。
黒髪の上の帽子が風に煽られて脱げた。首に掛けた紐のせいで甲板に落ちることのなかったそれは、背中でぷらぷらと揺れている。ひどく間抜けだ。紐についた飾りだろう牛みたいなものに思わず同情してしまう。おまえ、持ち主間違えたな。
シャンクスと同類か。こりゃ救えないな。隣の赤い髪の人は常日頃から表現するのも煩わしいほどセクハラばかりなのだ。わたしの中で“大頭”と“シャンクス”は別物で、つまり“大頭”はすごく尊敬しているけど“シャンクス”はひどく面倒くさいと思っている。
どこの船にもいるんだな、こういうの。心底呆れました、という目でエースとやら半裸野郎を眺める。
そばかすの顔がボッと赤くなった。
つられて私も赤くなる。
「な、なんだよ」
「な、なによ」
プイッ
プイッ
「・・・ははっ」
「・・・ふふっ」
「な?アン。俺の女になれよ」
なにが、な?なのかさっぱり分からないけど、真っ赤なくせに太陽みたいなその笑顔にわたしの心臓はドクンと大きく脈を打った。
【条件反射】
(おまえらソックリだな。だははっ)
((うっさいっ))