▼ 発声練習
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まーまーまー
「なにやってんだ？」
全く興味はないが一応聞いてみる。アンに用があったからついでだ。
「発声練習、だね」
まーまーまー
なんだそりゃ。呆れる俺を尻目に、アンは引き続き見張り台に仁王立ちしてまーまー叫んでいる。
俺、用事あるんだけど・・眉を寄せて真剣にまーまー言ってるもんだから、声をかけるタイミングが見つからない。
アンがコホンと小さく咳払いをして、まっすぐに海を見据えた。すぅと大きく息を吸い込んで、背中を思い切り反らし、なにかを飛ばすかのように大声を投げる。
「すきだーーーーーーーーーー！！！！！ｿﾊﾞｶｽｯ」
息が続かなかったのだろう、苦しそうにコチャコチャっと最後にくっついてきた言葉に俺は首をかしげる。そばかす？
「ばーか。エースのことだってば」
満足気にひひひっと笑うその顔にとりあえず一言。
「・・・エースだ」
そばかすじゃねぇ。
何故か緩む頬をごまかすため、わざと拗ねたように口を尖らせた。
想いが伝わるように、
何度も何度も
【発声練習】