誕生日プレゼントは

※性的表現注意です


パタン、と背後では、扉がしまる音。それに続くように、「やっぱ、部屋の中も寒ィな」とひとりごとのような呟きが聞こえた。「いま、暖房つけますから」と、いって、振り返ったら、そのまま、ドフラミンゴに抱きしめられた。

「あー、なまえがあったけぇ」
「………なにしてるんですか?」と、いってみたけれど、その声に含ませた棘はドフラミンゴのコートに吸収されてしまったようで。ドフラミンゴは、知らん顔してまわした腕をほどかない。仕方がない。荷物をもっていない手を、広い背中にまわして、ポンとたたいた。そうすると、ゆっくりとドフラミンゴが身体を離す。もう、笑っていなかった。

「なまえ、今日はお前をもらいたい」
真剣な眼差しだった。熱のこもった眼差しだった。拒めなかった。拒めるはずが、なかった。






夕食も食べずに、なまえをベッドに抱いて運ぶ。

もう何度も抱いている身体。なのに、一方に飽きがくる気配はない。それどころか、毎回、もっと啼かせたくなる。もっと奥まで暴きたくなる。手早く、なまえの服を脱がしながら、自分も服をとる。サングラスも、外して、部屋の照明を落とした。

なまえは、気まずそうに、顔をそらしているため、日に焼けていない白い首筋が露わになっている。薄暗い中、いっそう目をひくそこに、手をあて、耳の下から人差し指でなぞりながら、声をかけた。

「なまえ、好きだ」

なまえが唾をのむ、皮膚の震えが指から伝わる。指先は、顎の下にたどり着き、そこから鎖骨までそっと撫でる。唇を吸い付かせると、なまえの身体がはねた。唇をおしあてたまま、舌先で鎖骨を舐める。

「――――ッ……」

なまえは、歯を食いしばって、声を抑える。声をあげるのが、恥ずかしいのだろう。我慢して、我慢して、それでも耐えきれなくなってはじめて、声をあげる。その声が、堪らない。日常、どちらかというと素っ気ない、愛おしい恋人が、気持ちよくて我慢できなくてあげる声。これに興奮しない男が、どこにいるンだ。

「なァ、おかしいだろ。俺が、この俺が、お前みたいな小娘に、節操もなく盛っちまってる」

なまえの返事はない。ただ、呼吸がみだれて、胸が大きく上下している。頬に手をあてて、こちらを向かせる。なまえの瞳には戸惑いと若干の苛立ち―――小娘と呼んだから、だが―――、が浮かんでいる。でも、その奥に、それだけではない色をみた。下腹部が疼く。たまらない。なまえが、もっと欲しい。より深いところで、交わりたい。なまえに口づけた。舌をねじこみ、歯列をなぞり、誘い出すようにして、なまえの舌と絡ませた。脳髄が痺れる感じがした。

「やばいんだよ、我慢できねぇんだ。――――クソッ、責任とれよ」

責めているのか、怒っているのか、愉快なのか、わからない。けれど、今の俺は、熱で浮かれたような目をしているだろう。






息を詰め、鈍い声をあげて達したドフラミンゴが、そのままなまえの胸の上になだれおちる。金色の髪が、ふわふわとなまえの視界でゆれる。ドフラミンゴは、大きな呼吸をしていた。触れ合う肌は熱い。ふたりとも、発熱している。なまえはぼんやりと、考えた。そうだ、誕生日プレゼント、買ったやつは、どうしよう。時計の針は、てっぺんをさそうとしている。もうドフラミンゴの誕生日も終わりだ。

そんなことを思いながら、まだ荒い息を吐いて、胸にのっている男を眺めた。そっと、明るい色の髪を撫でた。それはやはり、ひよこのように柔らかかった。

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