思惑

わざわざ買う必要はない、と伝えたが、なまえは俺に誕生日プレゼントを買うことに拘った。

なまえの誕生日に、豪勢なものを(俺の独断と偏見で)買い与えてやったから、それを気にしているのだろう。いらない、といっても、何か!とひかなかった。

そんな意固地になっているなまえが可愛くて、それなら仕方ない、一緒に買い物デートしようぜ、とデートに連れ出した。なんせ、金には困っていないのだ。金で買えるモノだったら、とっくに自分で手に入れている。それゆえ、現状、特に欲しいものはないのだけれど、あれはどうだ、これはどうだ、と俺のために悩むなまえが可愛かったから、何もいわなかった。正確には、何か聞かれるたびに「可愛い」やら「なまえの方がいい」だとか、ちゃちゃをいれて、からかっては怒られていた。

結局、なまえが気に入ったものの中で適当な値段のものを「それでいいんじゃねぇの」と、間延びした返事をしてやれば、なまえは若干不満げだったもの、「じゃあ、これにしますね」といそいそと会計に進んでいった。

なまえの後ろ姿をみながら、俺は、どうにもならない熱い何かを腹の底に感じている。

じっと、なまえの背中をみながら、その服の下の肢体を記憶をたどって思い描く。日に焼けていない、すべらかな肌、背骨が少し浮き出ている。それをなぞるのが好きだ。首は細い。柔らかい後れ毛がよく垂れている――――――そこで、下腹部に熱があがってくるのが感じられ、慌てて思考を停止させた。

「(…………やべェな、俺)」

ただの想像で、なまえに欲情できてしまうのだ。青臭いといわれるような年齢の時の方が、まだ節操があった。

やっぱ、どうせ祝われるなら、モノよりヒトだなと、静かに決意を固めていた。そして、今夜のことを考えて、ドフラミンゴは不敵に笑みを浮かべ、会計を待つ愛しい恋人の元へ足を進めるのだった。

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