帰り道

ふたりでとぼとぼと帰路をゆく。日は傾きかけていて、夕日が鮮やかなグラデーションで空を染め上げる。雲が擦れた絵具のようにかかる美しい秋空だった。

「うー、さみィ」

先程から、風が吹込むたびに、寒い寒いと文句を言うドフラミンゴは、夕日に負けず劣らず派手な色をしている。つんつんと短い金色の髪に、派手な色のコートで身をつつんでいて、それに、柄物のぴったりとしたパンツ、顔には特徴的な形のサングラス。

ひとつひとつ、うるさいくらい主張が激しい格好をしているのに、不思議なことに、すべてが不思議と調和していて、全体としては纏まった印象を与えていた。

「うん、さむいですね」と、男が文句を垂れるたびに、なまえは相槌をうってやる。ドフラミンゴは、しっかりとした骨格の長身であるけれど、服の下は無駄のない筋肉ばかりで構成されていて、たるみがないぶん、寒い寒いと文句をいうのも、頷ける。

「だから、手ェつなごうぜ、なまえ」
「…………大通りからはずれたら、いいですよ」
「それ、さっきは、駅からでたらいいですよ、だったじゃねぇか!」
「もうちょっとの我慢です」
「俺ァ、我慢は嫌いなんだ」
「知ってます」と、なまえは溜息をついた。そう、ドフラミンゴは、たいていの場合、いいだしたら聞かないのだ。我慢をするくらいなら、手を変え品を変え、欲しいものを手に入れるために全力をかけてくる。

「だから、手ェだせよ」

なまえは目線をあわせない。ただ、冷たく無視もしきれないで、瞬きを重ねて視線をさまよわせている。その様子をみて、ドフラミンゴはほくそ笑む。なんだかんだいって、なまえは甘いのだ。恥ずかしがりやなところも可愛いし、押しに弱いところも可愛い。ドフラミンゴの顔に笑みが広がった。

「俺は、しつこいぞ」
「……………それも、知ってます」

なまえがとうとう折れ、そうして、呆れたように笑った。

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