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あっちとこっちに境目はなくて

私はよく皆から「変な子」と噂されている。唯一の友人だった、もう名前は覚えていないけれど友人だった彼女がそう噂されてると教えてくれた。けど彼女の事を友人だと思っていたのは私だけだった様だ。彼女は残酷だった。私には近づいては優しい言葉をかけてそしての別の、彼女の友人の所に戻るの。いつしかダークブラウンの彼女に友達になりたいと申し出たことがあった。そうすると彼女ははにかみながら「ごめんね」と消え入るように言うとまた友人らへの元に戻って言った。そのごめんねは何を意味するのか全くもって分からなかった。私の申し出から彼女は私に近づくことは一切なくなった。別に友達がいらないわけじゃない。どちらかと言うと私も心寂しい普通の人間なんだから悲しい時傍に寄り添ってくれる友人が欲しいのは当たり前の事だった。だけど私は友人を作るという機能がどうも乏しいようで未だに友人と呼べる友人は皆無だ。両親は元々子供は要らなかったと言う。そんな中で私を身ごもり、愛しか見えぬ2人は私を古びた祖母の家へと押し付けたようだ。祖母に両親の事を聞くと隠すことなくなんでも教えてくれた。寂しさのあまり両親の家へと足を運んだこともあった。窓から見る両親は楽しそうに手を取り合い上手かも分からないようなダンスを踊っていた。その傍らでは犬も楽しそうに跳ねている。あぁ、私はあの毛むくじゃらの犬の代わりにすらならないのね。と胸を酷く痛めて祖母の家に帰ることが多々あった。祖母は私をペットのような感覚で育てていたのかもしれない。ものをもねだっても買ってもらった覚えはないし、ただ必要最低限の物しか買って貰えなかった。6歳を迎えた頃から私はストレスからなのか自分の頭に引き込むる傾向があった、ただベットの上で足を抱えて目を瞑るだけ。それだけで自分の好きな所を、人物を想像して現実から逃げ出すの。ご飯がだよ。の言葉にいつも急に現実へと引き戻されるのが殺されたいくらい辛いことだった。酷い時は半日以上自分の頭に引きこもることもある。頭の中で描きあげた友人はダークブラウンの彼女と違って優しくてずっと一緒にいてくれた。7歳のある日いつも通りに頭に閉じこもると今までとは見たことも無いところが広がっていた。霧がかった白い空間に大きな白い木が生えており木の下には緑のような白いような草原がひろがっていた。木まで歩きそれをゆっくりと壊れないように撫でると木は不気味と暖かった。「だれ?」と木が話しかけてきた。『普通、木は話さないのよ。これが現実だったらきっと切り倒されてるわ』と言うと木は笑うように枝葉がさわさわと全体的に動く。「そうだね。木は話さない。」木の後ろから1人の男の子がひょっこりと現れた。その子は私と同い年位の子だった。彼は今までなかった椅子に座り出した。「話さないけど、実は木がとってもお喋りだったら?」と彼はおかしな事を聞いてくる。『木がお喋りなら私の新しい友人が出来るってことよ。』と彼足元に座った。「けど、おかしいな。これは僕の夢なのに…君は一体誰なんだい?」『違うわ、これは夢じゃなくて私の頭の中なのよ。』と言うと彼は「そういう夢なのか」と呟いている。『今日ね、両親の家をまた窓から覗いてたの。そしたらね、そしたらね、』私はぽろぽろと涙しながらスカートの端を持ち上げ涙を拭った。『そしたらね、お母さん。赤ちゃん抱っこしてたんだ。私も抱っこしてもらいたかったな。いいな。』彼は眉尻を下げ私の頭を撫でている。私はその心地いい感覚と久々の他人の温もりを堪能した。「ご飯だよ。」目を開ければ腰も曲がりきった祖母が扉を閉めるところだった。閉まらないうちに扉を開け祖母の後ろに続いた。祖母の作る料理はいつも1品だけだった。今日はフィッシュパイだ。それを一つだけ摘むとご馳走様と私は自身の部屋に戻り、また目を瞑るのだけどそこは先程までの場所とは違い、少し悲しかった。