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O.Bの女の勘

トム・リドルははっきり言って天才だった。非の打ち所がないし、誰にだって対等に接していて友人だって多かった。だけどあいつはたまに空を仰いでた。なにもない空にまるで誰かを見ているようなそんな感じだ。もちろん空には何も無いしゴーストだって居ない。けど、空を見るリドルはいつだって愛おしい目でただ静かに空を見ていた。いつだか俺はトム・リドルに質問したことがある。そんなに空を見てなにを見ているのかと。リドルは「教えない」とにこりと笑った。友人が多いリドルは自分の話はあまりしなかった。そんなリドルを俺は誇れる友人として一緒にいた。あのうざったらしいアブラクサス先輩も、どうやらリドルに一目置いてる様子だった。 いつだかリドルに彼女ほしいよな。と投げかけたことがあった。リドルは「興味無いよ」と何故か機嫌良さそうに呟いた。「おま、え。まさかもう…」リドルは否定も肯定もせずにただ笑っていた。「オリオンにはもう彼女はいるじゃないか。」「はぁ?ヴァルブルガのことか?」別に俺はヴァルブルガの事なんてどうも思っちゃいない。あいつはただの再従姉なだけだ。と叫ぶと、リドルはもう、そこには居なかった。リドルと三本の箒でくそ不味いバタービールを飲み干している時に後ろの席で騒ぐハッフルパフ生を見るとかなり俺好みの生徒だった。小声で「 なぁ、リドル。あの人可愛くね?」と問うとリドルはちらりと彼女を見て「まぁ、普通だね。」と鼻で笑いやがった。そう言えばリドルは可愛い顔好きの俺が毎回好みの子を見つけ可愛い?と聞くといつも返事は普通とだけ言う。俺は不思議に思いリドルに「どんな子が好みなんだ?」と聞くと暫し考え「少し抜けている子かな。精一杯に一生懸命に話したりいちいち反応が大袈裟だったり、自分の為にいっぱい泣く子が好きだな。」とリドルは本を読みながら答えてくれた。あまりに詳細に話すものだから俺は、これは絶対女がいるな。と踏んだ。それからこそこそとリドルを付けるが女どころか、女生徒がリドルの所に寄るだけで、リドルからはなんの行動も無かった。あれ、おっかしいな。俺の女の勘が外れることなんてないのに。髪の毛を両手でガシガシ触ると俺はリドルの元に走って「彼女にあわせろよ!」と叫んだ。大広間に響く俺の声は思ったよりも響いたらしく女生徒はリドルに彼女がいるの?と阿鼻叫喚だった。「ちょ、と!声がでかいよ。なんの嫌がらせなの?」とリドルは不機嫌になり俺のかわいい頬を尖った杖で刺してきた。そういえば怒ると怖いんだった。リドルの周りに女生徒が押し寄せたため俺たちは大広間から撤退して寮の談話室へと戻った。「確かに僕には好きな人はいるけど、合わせられない。」「そんなに俺を紹介するのが恥ずかしのか」と少しカッとなった。するとリドルはすごく切ない顔をして「いや、そうじゃないんだ。僕すら会えないんだ。」とリドルは自室へと戻って行った。 7年生に上がるとともにリドルは監督生だけじゃなく首席まで物していてもはや誰もが憧れる存在になっていた。「リドル、卒業したらどうすんだ?」「僕は教えるのも嫌いじゃないしここの先生にでもなろうかな。」「リドルが先生とか少し面白いな。」「それで結婚する。」「はあ!?」リドルは無邪気に笑っていた。「なぁ、冗談だろ?」「どうだろうね。僕は今からすこし校長と話すことがあるから」とリドルは談話室から出て行った。 あっという間に楽しいホグワーツ生活はあっさりと卒業となった。7年間絆を育んだ友との別れ寂しかったがこの狭い魔法界でまたいつでも会えるだろうと別れを楽しむ者もいた。「リドル、7年間お前といれてよかったよ。楽しかった」「…僕もオリオンと過ごす生活は楽しかったよ。ありがとう」「そんなに、寂しがるなよ!お前が俺を呼べばいつでも飛んで行ってやるよ。」「オリオン、今度彼女に会ってくれないか?僕の大切な友人として紹介したいんだ。まだ…いつになるか分からないけど。」リドルはまた空を見つめている。この7年間友としてリドルと過ごしていたが未だにリドルが空を見る理由はずっと見つからなかった。卒業して俺はすぐにヴァルブルガと結婚するはめになった。結婚式にはちゃんとリドルが来てくれて盛大に祝ってくれた。リドルはどうやらホグワーツで教鞭を取っているようだ。充実しているらしい。リドルは楽しそうだ。ワインをお互いに飲みながら色んなことを語り合ってどんどん夜は更けていった。リドルはまた空を見上げて「オリオン、僕の結婚式にも出てくれないか。」と空に向かって呟いだ。「もちろん出るよ。お前の結婚式だもんな。俺の時よりも盛大に祝ってやるよ。」と笑うとリドルも答えてくれるようにふんわりと笑った。