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最初に言っておくが、私とチャーリーは恋人関係にはない。

「チャーリー、ちょっと」

「んんー……ナマエ……」

私を膝と膝の間に収め、右肩に顎を乗せたチャーリーは、まるで小さな子供が甘えるように私の頬にすりよる。
身体の大きなチャーリーの、いつもとは正反対なその姿が可愛いだなんて、思ったけれど言葉にはしなかった。


同窓会、のようなものだろうか。

ホグワーツで寝食を共にした仲間が数人と、彼らが連れてきた面識のない人達が数人。
小さなパブで飲み会をしようとチャーリーから梟便で連絡がきたのは、つい昨日のことだ。

最初はただ、ビールを飲みながら話をしていただけだった。私はアルコールに弱いから、少しだけ飲んでジンジャーエールに変えた。
皆の飲む量が尋常じゃないと気付いたのは、それからだいぶ時間が経ってからだ。
机の上から溢れんばかりに並べられた空のビールジョッキを見て、もっと早く止めるべきだったと後悔しても遅い。

私と同じくらいアルコールに弱いチャーリーは、自分の頬をグリグリと私の首筋に押し付ける。チャーリーから香るアルコールの匂いに目眩がした。

「おおっ、チャーリーがナマエを襲ってるぞ!」

「ハハハハ!」

周りの席に座る友人達のからかいの声を適当にあしらって、チャーリーの膝の中から抜け出そうと腕に力を込める。
しかし、後ろから伸びるチャーリーの逞しい腕が私の身体をガッチリとホールドしていて、全くといっていいほど動かなかった。
「ドラコンに比べればナマエなんて可愛いもんだよ」呂律の回らない口でそう言う。そういうことじゃないの。チャーリーが耳元で話すせいで熱くなった身体がさらに熱くなる。

「あれっ、ナマエはもしかして耳が弱いのか?アルコールも弱くて耳も弱いなんて可愛いなあナマエは」

「アルコールに弱いのはチャーリーも、って、ちょっと」

チュッチュッとリップ音をさせながら私の耳にキスを落としていくチャーリー。その様子に周りが無駄に沸いた。チャーリーを止める気は彼らには更々ないらしい。

「愛してる」

その間に囁かれた愛の言葉は妙に艶っぽくて、不覚にも心臓が跳ねた。
酔っぱらいの言葉なんて信用できるわけないでしょ、と身体をねじらせてチャーリーの頭を軽く叩く。

「そういうことする悪い子にはおしおきだなー」

目をトロンとさせてそう言ったチャーリーが、机の上にあった中身入りのジョッキを手にする。
まだ飲むのか酔っぱらい。止めさせようと伸ばした手を、私のよりもずっと大きな手が制止する。

チャーリーはそのままジョッキの中身をあおり、私の唇を塞いだ。

「んぅ───!?」

周りの歓声が大きくなる。
無遠慮に入ってきたアルコールを飲みきれずに、口の端からかなりの量のビールが流れ落ちる。そもそも私とチャーリーの口の許容力は違うのだ。

「ん、んぅ……あ、はっ、ぁ」

何度も何度も角度を変えながら口付けをされる。ようやく全てを飲み込んで口が解放された。

周りの声も聞こえないくらい頭の中が真っ白。目の前がクラクラしながらも必死で視線をさ迷わせれば、満足そうに笑うチャーリーが私の口端を流れるビールをベロりと舐めとる。

「ナマエ、愛してるよ」

溶けきった目でそう笑うチャーリーにまた熱いキスを贈られた私は、すでに抵抗を放棄していた。



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