ひとりじめは特権



白い砂浜、青い海。
さんさんと輝く眩しい太陽。

ポーン…と高く飛んだビーチボール。

それは待ち構える腕の中にぽすっと落ちた。





「おおー!ナイスキャッチー!」

「エアリス、上手!」





ビーチボールをキャッチしたエアリス。
ティファとあたしは手を振って上げて、テンション高く喜んだ。

場所は、コスタ・デル・ソル。
有名なリゾート地。

白い砂浜、青い海。
さんさんと輝く眩しい太陽。

最初は暑さにやられてうだってた。
でも折角だからって水着に着替えたら、もう気分は一気にリゾート万歳!

そりゃもう、ただボールを投げて遊ぶだけでもテンション高くなっちゃうってもんですよ!

旅の途中、訪れたこの場所で、あたしたちは息抜きにリゾートを楽しんでいた。





「よーし!じゃあナマエ、次、いくよ!」

「おー!どーんとこーい!」





ビーチボールを構えたエアリス。
あたしは受け止める準備をして、両手をパッと広げる。

でもその時、傍にあるパラソルの下でこちらの様子を眺めていたクラウドが立ち上がった。





「俺たちの休憩時間は終わりだ。そろそろ祭りの警備に戻る。ナマエ、行くぞ」

「あ、うん」





クラウドに呼ばれてはっとする。
おっとっと、もうそんな時間だったか。

リゾート気分に浮かれてすっかり忘れてた。

あたしは「ごめん」とエアリスとティファに軽く謝り、タタッとクラウドの傍に駆け寄った。





「リゾート地に来てまでなんでも屋のお仕事なんてクラウドらしい。でもナマエまで連れてっちゃうのー?」





待っててくれたクラウドは、駆け寄るとすぐに歩き出す。
エアリスはその背中に声を掛け、ぷくっと頬を膨らませた。

コスタ・デル・ソルでは今ちょうど、お祭りが開催されていた。
そしてクラウドはなんでも屋としてその警護の依頼を受けた。

クラウドはため息混じりに振り返る。





「…ナマエは俺の助手だ」

「とか何とか言ってー、いっつもひとりじめしちゃうんだから!」

「ひとりじっ…」





エアリスの言葉にクラウドが隣でぎょっとした。
一方であたしは顔をしかめて首を傾げる。

ひとりじめ…ってなんぞ。

いやいやだってお仕事だし。

クラウドが依頼を受けるなら、勿論あたしもそれは手伝う。
だってあたし、クラウドの助手だもの!

つーかそんなんしてクラウドに何の得が!?って話だし!

むしろあたしがクラウドひとりじめしてますが大丈夫!?ってアレだが!?





「エアリス、エアリス。意味わからんですよ」

「どーして?私は、ナマエひとりじめしたい」

「エアリス…!!!」




あ、今きゅんとした。

ニコッと笑うエアリスにあたしはきゃー!だと喜んだ。

うん、まあ仕事だけど。
でもエアリスが一緒に遊びたいのに!って言ってくれるのは嬉しい〜♪

ま、クラウドももうちょい息抜きしてもいいんじゃないかなとはあたしも思うけど。

すると多分、あたしと同じようなことを考えていたであろうティファがクラウドに呼びかけた。





「クラウド、パスするからばっちりキメて!」





そう言ったティファはエアリスに手を上げる。
それを見たエアリスは頷き、ぽーん、とティファに向かってボールを投げた。

ティファは砂浜を踏みしめ、構えて…って…?

なんか、戦闘みたいなガチの構え…?
ティファは飛んできたボールを捉えると、体を捻り足を高く上げて…そのまま物凄い勢いでボールを蹴り飛ばした。





「!」

「ひえ!?」





ビュンッとクラウドの横を飛んでいったボール。
とんでもない勢いに思わずあたしは飛び退いた。
クラウドもぎょっと驚いて体を引いていた。

ちょちょちょ、ティファさん!?
そんなあなたの身体能力で全力で!?

流石にビビる。
我が親友ながらなんちゅー荒業を…!?

あまりの勢いだったから身を引いたけど、でもボールの軌道はあたしたちから反れてしまっていた。
いや、あんなのぶち当たったら昇天するからそりゃ全然、むしろ反れてくれていいんだけども!





「あ!」





ティファはボールの飛んでいった先を見て目を丸くした。
そして直後、聞こえた悲鳴。

え!誰かに当たった!?

あたしはパッと悲鳴の先を見る。
クラウドとエアリスも同じように見ていた。

でもどうやらその悲鳴は、ボール云々ではなかったようで。





「モンスターが現れたぞー!」





人々が走って逃げて来る。

ころころ…と勢いを無くして止まったボールの先。
そこにいたのは、スイカのような色味をした一匹のモンスター。

なんだあれ!?見たことないな!?
でも形はトンベリに似てるような…。

いやでもスイカ!?

なんだかよくわからない。
けど、モンスターなら退治せねば!




「なんでも屋の出番だな」

「うん!これぞまさにだね!」

「いくぞ、ナマエ。キメてやる!」

「がってん!」






クラウドとあたしは武器を構えた。
ティファとエアリスも手伝ってくれる。

警備のお仕事、特に問題も起きなくて、いるのかな?ってちょっと思ってたところ。
いや、何もないのはいいことなんだけどね!

でも問題が起きたからには、きちっと対処させていただきます!

こうして、あたしたちはモンスター退治に駆け出したのだった。



To be continued



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