プレゼント泥棒



「集まったね〜」

「みんなの笑顔を思い浮かべると、プレゼント集めって楽しいね!」

「マリンへのプレゼントも用意できたぜ。渡した時のマリンの笑顔が楽しみだ」





プレゼント集めに行っていた皆が戻ってきた。
全部を並べると、その山は圧巻だ。

うん、本当、夢しかない光景だ…!

バレットもマリンへのプレゼントを用意できたみたいだし、こっちもツリーはバッチリ。

これで準備は万全だね!





「こんなにたくさんのプレゼント、どうやって配るんだ?」





プレゼントの山を見たクラウドは、どう配るのかを聞く。





「プレゼントはここで配る。セブンスヘブンの宣伝にもなるしな」

「名付けて、セブンスヘブンのホリデープレゼント大作戦!」

「宣伝用のビラも作ったっす!」





ビッグスとジェシーがよくぞ聞いてくれたというように答えると、ウェッジがビラをクラウドに見せる。
覗き込んだクラウドはそれを読み上げた。





「『ホリデーはセブンスヘブンに集合!ホリデーのプレゼントを贈ります!』」

「セブンヘブン、大繁盛っす!」





この催しは、セブンスヘブンの宣伝にもなる。
実は結構考えられた計画なんだよね。

お店が盛り上がれば、ツリーを飾った甲斐もあるし!

そう話している中、ジェシーは何やら隅の方でごそごそしていた。

なにしてるんだろう?
しばらく見ていると白い大袋を手に戻ってきて、あたし、ティファ、エアリスを見てにんまり笑った。





「じゃじゃーん!3人には特別にホリデーの衣装も用意したよ!」

「「「え!?」」」





3人で驚く。
ホリデーの衣装!?





「これ着てビラを配ってしっかり宣伝してきてね!」

「聖火の精の服、着れるの!?」

「うん、しかも私プロデュースの特別デザイン!」





差し出されたエアリスが袋を受け取りながら聞けば、なんとまさかの特別仕様とな…!





「うわ〜楽しみ!」

「さっすがジェシーの姉御〜!!」

「ふふふー、まあねー♪」





喜ぶティファ。あたしはジェシーに抱き着いた。
ジェシーはあたしを受け止めながら、もっと褒めていいのよと得意気に笑った。





「じゃ、私たちは先に宣伝に行くね!」





そしてジェシーはビッグス、ウェッジと共に先に外に出ていった。
それを見送ると、あたし、ティファ、エアリスはすぐさま顔を合わせる。





「ティファ、ナマエ、早く着替えよう?」

「うん!」

「いこいこ!」





あたしたちはお店の奥の方に向かった。
そしてそれぞれ、ジェシーが見立ててくれた衣装を身にまとい、待っているクラウド、バレットの元に戻ってきた。





「さすが、ジェシー、凄くおしゃれ!どうかな、クラウド?」

「……悪くない」





赤が基調の聖火の精の衣装。
ティファが感想を求めれば、クラウドは顔を逸らしながら短くそう答えた。





「私は?私は?聖火の精じゃなくて、雪の精だよ!」





エアリスはクラウドが顔を逸らした方の正面に向かい、見て見てと聞きに行く。

エアリスの方は雪がモチーフの真っ白な衣装。
ちらりと見たクラウドはすぐに目線を逸らし、またも短く答えた。





「……いいと思う」





うーん、わかりやすく照れている。
その様子がちょっぴりおかしくて、あたしは小さく笑った。

いやいやでもわかる!わかるよクラウド!
ふたりともむっちゃくちゃ可愛いもん!そりゃ照れますよねって話だよね!

しかしふたりはなかなか積極的だなあ。
エアリスは特に?

するとそんな様子を見ていたバレットは呆れたようにやれやれと首を振った。





「ったく、はっきりしねーな。おう、ナマエ、お前も良いじゃねえか」

「え?そう?へへ、ありがと。そう言われると嬉しいね。でも本当流石ジェシーだよね、ちゃんと好みも汲んでくれてる!」

「おう。3人ともよく似合ってるぜ!」





あたしはわざわざ聞きに行かなかったけど、バレットはこっちを見て褒めてくれた。
それから3人合わせて、ばっちりしっかりスマートに。

まあこういうとこ見てると、やっぱバレットは大人なんだよなーと思う。

褒めてもらえれば普通に嬉しいし。
その言葉に3人でえへへと笑った。

ちなみに、あたしの衣装もティファと一緒で聖火の精だ。
でもそのデザインは全然違うもので、しかもあたしの好みに合わせてくれてる。

本当、さすがジェシーはわかってらっしゃるなー♪って感じ。

そうホクホクしていると、なんとなくどこからか視線を感じた。





「…?」





振り向くと、目が合ったのはクラウド。
その時のクラウドは何故か「うっ…」みたいな顔をしてて、すぐに顔を逸らされた。

ど…どうかしたんだろうか?





「準備が出来たことだし、早速ビラ配りに行こう!」





エアリスがそう声を掛けてくれる。

そうそう、準備は万端。
ジェシー達に任せきりじゃなくて、こっちも宣伝しに行かないと。

でもそうしていた時、こちら側を向いているエアリスとクラウドが急に目を丸くして驚いた。





「あ!」

「!?」





え、なに?
視線は…あたしの後ろ方を見てる?

ティファ、バレットと一緒にあたしも振り返る。





「あ!」

「あ!」

「あ!」





声が揃った。
振り返って、ふたりが驚いた理由を理解する。

え、なに!

そこにいたのはサボテンダーみたいな姿をした…え、クッキー?オーナメント?
とにかく、得体の知れないモンスターが一体。

しかもさっきまでそこにあったプレゼントの山が無くなっている。
奴の近くには、ワープホールみたいな歪み。

もしかして、プレゼント泥棒!?





「なんなんだよ、こいつ!?」

「プレゼント、どうするつもり!?」





バレットとティファが声を掛けると、そのワープホールみたいな中に飛び込もうとするそいつ。
クラウドが慌てて追いかけたけど、追いつくことは出来ず、その姿は歪みに消えた。





「ええ!ちょ!消えた!?」

「プレゼント全部持っていかれちゃった!」





エアリスと驚く。
え、まじでワープホール!?

ていうかプレゼント!!!





「話はあとだ。プレゼントを取り戻すぞ」





クラウドはそう言っていち早く歪みに飛び込んだ。
あたしたちも急いで後を追う。

飛び込んで抜けた先は、外だった。
景色的には七番街スラムみたい。





「おい!俺らのプレゼントを返しやがれ!」





バレットが叫べばモンスターはこちらに振り返った。
いや、むしろ向き直った?





「お!?やんのか!?」

「油断するなよ、こいつは手強そうだ。おい、ナマエ」

「はいはーい!」





クラウドに来いと呼ばれ、剣を構えて並び立つ。

いや本当、さすがジェシー!
この衣装バッチリ動きやすいわ!戦闘にも向いてそう!

って、まさか戦うことになるとは思わなかったけど!
でもプレゼントは、なんとしても取り返さないと!

こうしてあたしたちは得体の知れないプレゼント泥棒と対峙したのだった。



To be continued



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