ホリデー大作戦



「よし、じゃあこれは此処につけて…と!」

「わ、ナマエ頑張ったね!」

「うん!とってもきれい!」





自分たちの背より倍の大きさはあるツリー。

電飾を巻いて、オーナメントを飾って。
煌びやかに彩れば、ティファとエアリスが見上げて褒めてくれた。

今宵のセブンスヘブン。
赤と緑の飾りつけと、沢山のプレゼント。

これは、とある寒い日の、不思議であたたかい物語。





「かなり集まったね、ホリデーのプレゼント」

「うん!まさにプレゼントの山って感じ♪」





クラウドとバレットがついさっきまで運び込んでいたプレゼント。
カウンターの前に並べられたそれを見て、エアリスとあたしはニコニコと喜んだ。

だってこれはなかなか夢のある景色ですよ!

今言った通り、正に山って感じ。
でもどうやらバレット的にはまだ足りないようで。





「いや、まだまだ集めるぞ。アバランチがスラム中に配るんだから、ドデカい花火みたいにどかーんとぶちかますぜ!」

「わあ!ホリデーっぽい!火を囲んで冬を無事に越せるように願う行事だもんね!」

「もとはぬくもりを届ける代わりに贈るプレゼントだけど、花火だとすごく熱そうだね」





両手を広げて派手に行くと張り切るバレット。
その様子に釣られてエアリスとティファも楽しそうに笑う。





「それをスラム中に配るなんて思い切ったな」





いつもなにかと突っかかり合うクラウドも、今回は感心しているらしい。
バレットは後ろ頭を軽く掻いて答える。





「まあ、決意表明みたいなもんだ。俺たちの活動は星の為、星に生きる人々の為だってな」

「スラムのみんな、プレゼントもらったらきっと心があったまって笑顔になるね。バレット、ナイスアイディア」





ティファはぽんっと軽くバレットの腕を叩いた。

確かに、良いアイディアだなってあたしも思った。

だから聞いた瞬間に、手伝う!!って身を乗り出した。
…そしたら一緒に聞いてたクラウドに笑われたんだけども。

だってさあ、楽しそうじゃない、そんなの。
それに普通に、素敵な考えだなあと、そう思ったし。

アバランチの決意表明。
なんにせよ、楽しくてワクワクして、あたたかい気持ちだけが詰まった催しには違いない。





「ホリデーといえば、聖火の精の服も着てみたいな」





その時、思いついたようにエアリスが言った。

聖火の精と言えば、赤いあの衣装の事である。
うん、確かにホリデーといえばあの衣装は憧れる!





「私も!でも、ナマエとも話してたんだけど…用意できなかったんだ。どこも品切れだったの。考えることは、みんな同じみたい」

「ねー。折角なら着たいねって探したんだけどねー」

「そっか。じゃあ、また今度、だね」





またいつかの機会に、って3人で頷いた。

あたしとティファも衣装の事は考えた。
エアリスの分も含め、用意しようかってお店を何軒か回ったけど、どこもスッカラカン。

本当、考えるのはあたしたちだけじゃないよね。そりゃそーだって話だ。

そうこうしてると、入り口の扉の開く音がして、ひんやりとした空気が足元を吹き抜けた。





「ひゃー寒い!ただいま〜!」





ジェシーの声が響く。
入ってきたのは、ビッグス、ウェッジ、ジェシーの3人。

3人もたくさんのプレゼントを抱えて帰ってきた。





「みんな、戻ってたっすか。こっちもプレゼントをだいぶ集められたっす」

「みんな喜ぶよ〜!どう、テンションあがるでしょ?」

「い〜や、伍番街の孤児院にはたっぷり送りたいからな。もっともっと集めるぞ!」





3人も張り切っている様子。

ホリデーのプレゼント。
子供たちの喜ぶ顔が目に浮かぶよね。

誰かの喜ぶ顔っていうのは、原動力になるから不思議だ。





「んふふ、みんな楽しそう〜♪」

「あんたも十分楽しそうだぞ」

「あら、ばれました?」

「ばれないと思ってる方が不思議だ」





クラウドにみんな楽しそうだよね〜って話振ったらそんな反応返された。

まあ、あたしも楽しそうだろう。
うん、だって楽しいし。隠してるつもりも無いしね。

クラウドはと言えば、そうあまりいつもとテンション変わらないけど。





「じゃあ、もういっちょ、プレゼント集めに出発っすね」

「私たちも手伝うよ」

「うん、もっといっぱいプレゼント、集めよう」





もう一回り、プレゼントを集めに行くというウェッジに自分たちも行くとティファとエアリスも手を上げる。
そんな雰囲気を見ていると、やっぱり楽しくなってくるのである。

そんな中、ジェシーはハッとしたようにバレットを見た。





「あ、そうだ!バレット、マリンのプレゼントはもう準備できた?」

「ああ、いやまだだ。なにがいいか、迷っちまってな」

「もう、父ちゃん、しっかりして!マリンが一番喜ぶプレゼントを渡すって約束してたんでしょ?じゃあバレットはマリンのプレゼントを用意して。マリンが寝てる、今のうちにね」

「うん、プレゼント集めは私たちで手分けしてやっておくから」

「おう、ありがとよ!」





マリンへのプレゼントを決めかねているバレット。
それを聞いていたティファも残りはこちらでやるからと、バレットには愛娘に集中するよう言った。

沢山の人の笑顔は嬉しい。
だけどやっぱり、誰より一番喜んでもらいたいのは大切な人だよね。





「あんたはどうするんだ?」

「んー、ツリーの飾り、もう少しやろうかな。オーナメント、まだ残ってるんだ。お客さん、わあって言わせたいし!」

「そうか。なら、手伝う」

「え、いいの!?じゃあちょっと高いとことかやってもらおうかな…!」

「ああ、任せてくれ」





ツリーの飾りつけは、結構あたしがメインでやってた。
皆とプレゼント集めに行くのも楽しそうだけど、やっぱり凝り出したら気になるもので。

どうするのか聞いてくれたクラウドにそう答えれば、なんと手伝ってくれると言う。

わ、ちょっとラッキーかも…!なーんて。

そんなこんなで、ホリデーの準備は着々と進んでいるのでした。



To be continued



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