あのステージをもう一度



エアリス救出のため、ウォール・マーケットでの情報収集を続けている最中。
あたしはトントンとクラウドの肩を叩いた。





「ねえクラウド、アニヤン・クーニャンにも顔見せに行く?」

「アニヤンか…」





以前ここを訪れた時、知り合って、お世話になった人が何人かいる。

1番は、まあ間違いなくマダム・マムだろう。
マムには先ほど、顔を見せに行ってきた。

マムには相当お世話になったから、ウォール・マーケットに行くなら挨拶に行きたいなと思ってた。

そして、もうひとり。
コルネオの屋敷に潜入する際、色々と手助けしてくれた人がいる。

それは蜜蜂の館のアニヤン・クーニャンだ。





「アニヤンにも色々助けてもらったよなーって思って。服とかも届けて貰ったし」

「ああ」

「あ、でもまた予約待ちだったりするかな?」

「いや、世話になったのは確かだ。一応行くだけ行ってみよう」

「うん。こういう礼儀って大切だよね」

「あんた、案外律儀だよな」

「すぐ賛成したクラウドもね!ま、御縁は大事にしましょってねー」





ティファとバレットにもちょっと寄りたいところがあると告げる。
こうしてあたしたちは一度、蜜蜂の館に行ってみることにした。





「いらっしゃいませ、クラウド様」





蜜蜂の館の前にはあの受付のお兄さんがいた。
彼はクラウドに気が付くと、またとても丁寧に対応してくれる。





「常連かよ!」





バレットから即座に突っ込みが入った。

顔馴染み。様付け。
ま、確かに…ここって所謂そういうお店だし、そんな反応にはなるのかもしれない。

でもひとまず説明はおいておいて…。





「こんにちは、その節はお世話になりました」

「…アニヤンはいるか?」





あたしはペコッと頭を下げ、クラウドはアニヤンの事を尋ねる。
すると受付のお兄さんは少し眉を下げた。





「申し訳ありません。アニヤンはジムに行っております」





どうやらアニヤンは留守らしい。

それは残念。
さて、じゃあどうしましょうか。

するとお兄さんは、何やら思い付いたような顔をする。





「そうだ、クラウド様。よろしければ、夜のステージにご出演を」





…なんと!
まさかのステージ出演依頼!

おお…!またあのステージ見れたりしちゃう!?





「断る」





でもクラウドは間髪入れずに速攻で断ってしまった。





「ええー…」

「…ナマエ」





クラウドが顔をしかめて振り返る。

あ、心の声が口に出てた。やべ。
んー、でもバレたならもういっそ?

だってさぁ、あのキラキラをもう一度!!!
とはやっぱ思うじゃない、うん。





「出たらいいのにー」

「…おい」





睨まれた。怖い怖い。
余計なこと言うなって顔。

すると、そんなやり取りを見ていたお兄さんはあたしたちを見てにこりと微笑む。





「こちらとしては、ナマエ様も歓迎いたしますよ」

「へっ?」

「おふたりの息があったバトルは拝観しております。アニヤンも目に止めておりましたから」

「えっ、え?」





あ、あたしも…!?
ていうかお兄さん、あたしの名前も把握してらっしゃったんで!?

てっきりアニヤンが興味持ってるのってクラウドだけかと思ってたんだけど…!





「んー…でもやっぱあたしは見る専門がいいですかねえ。あのステージ、とっても素敵でしたから!」

「恐れ入ります」





感動を伝えるとお兄さんは微笑んで軽く頭を下げてくれた。

そしてあたしは期待の目でちらっとクラウドを見上げる。
そしたらこっちを見るなって顔された。

いやぁ、でもさぁ、やっぱさぁ!

あの時のパフォーマンス、本当に凄かったし。
なによりクラウドに向けてキャーって声援を送るのは最高に楽しかったんだもん!





「おふたりなら、いつでも歓迎いたします」





とりあえず、アニヤンがいないならと蜜蜂の館を後にすることに。
受付のお兄さんは最後にそう言ってあたしたちを見送ってくれた。





「お前らここで何やってたんだよ…」





バレットの突っ込み。
クラウドに「言うなよ」と小声で釘を刺される。

あたしはあはは…と軽く苦笑いしたのだった。



END



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