惚れこむ強さ
「うわ!でか!可愛さのかけらもなっ!!」
「別に可愛さなんて求めてないだろ」
「いやそりゃそうですけどもね!?」
「でも無事発見だね。ほら、さっさとやっつけちゃおう!」
先程ウェアラットを退治した空き地。
その場に戻ってくると、そこには化けネズミの大群がいた。
ウェアラットの悲鳴を聞いて助けに来るという噂は本当だったらしい。
実際目にしたそれは、図体でかくて正に化けネズミ。
耳も、手も、足も全部でっかくて、うん、全然可愛くない!
いやクラウドの言うとおりね、そりゃ別に可愛さ求めてたわけじゃないけどさ…。
まあ、アイテム屋さんの倉庫を襲うというのなら…そんな不届き者、成敗してくれましょう!
あたし、クラウド、ティファはそれぞれ武器を構える。
そして化けネズミたちを退治していったのだった。
「いよぉーし、討伐完了!」
剣を収め、手を上げて万歳。
化けネズミは、ウェアラットと比べると面倒な相手だった。
でもあくまで比べたら強かったってだけで、さほど厄介なものではなかった。
かすり傷ひとつないってものね!!
「じゃ、アイテム屋さん戻ろ!」
「ああ」
「よーし、今度こそ、逃げ出したなんて言わせないからなー!!」
「ふふ、もう、クラウドよりナマエの方が根に持ってるじゃない」
「あはっ、かもねー」
そんなこんな、笑いながらあたしたちはアイテム屋さんに戻った。
「化けネズミを倒してくれたってな。ありがとよ、お三方!」
戻るとお礼をくれたアイテム屋さん。
あたしはカウンターに身を乗り出し、ここぞとばかりにクラウドの強さを売り込んだ。
「どうどう?あっという間!クラウドの強さこれでわかったでしょ!」
「なんでお前が得意げなんだよ。けどま、ナマエも惚れこむ強さって事か。腕に自信のあるお前が助手だとか言ってる意味はわかったよ」
逃げてきたとか、途中何だかんだ色々言われたけど、実際のところ手際は悪くなかっただろう。
発見さえしてしまえば、もう後は瞬殺って感じだったもんね。
これでクラウドの凄さは伝わったかな!
それならあたしは満足です!
けど、惚れこむ強さか…。
あたしはちらっと、クラウドを見上げる。
するとクラウドもこちらを見ていて、自然と目が合った。
だからにへら〜と笑ってみた。
「うん!そうそう!まさに惚れ込む!もうべた惚れだよね!」
「えっ…」
クラウドは目を丸くした。
それで、言葉に詰まるような。
でも、嫌そうな感じではなさそうだし。
うーん、でも確かにはじめてクラウドと一緒に戦った時、もっとこの人と戦ってみたいなって思った。
助手をやりたい理由、確かにそれもあるかもな〜って、それは自分でもちょっとした気付きだったかもしれない。
「化けネズミ騒動で店はすっかり閑古鳥だったが、いいことを思いついたんだ!化けネズミどもを一掃した凄腕のなんでも屋お気に入りの店として宣伝すれば…どう思う、いけそうだろ!」
「調子いいの〜」
化けネズミが退治されたことで、アイテム屋さんはかなり機嫌が良い。
華麗なる手のひら返し。
なんでも屋の名前使って宣伝とな。
ツッコミ入れてもなんのその。
むしろ名案だろって目が輝いている。
「どうだろう、なんでも屋!商売は持ちつ持たれつ。俺は、ワイマーや客たちにあんたを推薦する。そうすればあんた、仕事なんて選び放題だ!」
「好きにしろ」
「ははは!いいね、いいぞお!セブンスヘブンとなんでも屋、そして俺の店!力を合わせて盛り上がっていこうぜ!」
クラウドの許しが出ると、更に盛り上がるアイテム屋さん。
まあ、商売っていうのはこれくらい強かでちょうどいいのかもしれない。
なんでも屋の宣伝に繋がるなら、こっちにとっても願ったり叶ったり。
こちらにも宣伝になったらいいなって気持ちはあったしね。
何はともあれ、これにてアイテム屋さんの依頼も無事完了したのでした。
END