頼りにされるのは嬉しい



アイテム屋の主人、元気がないのよね。
なんでも屋として本格的に仕事を始めようとしていた時、街でそんな話を聞いた。

はて、アイテム屋さん…。
さっきJSフィルターの集金に行った時はクラウドとバチバチしてたけど。

なんにせよ、何か出来ることもあるかもしれない。

そんなこんなで、あたしたちはアイテム屋さんにへと足を運んだのだった。





「お、ティファちゃん〜!」

「ちょっとあたしは無視ですかー」

「へへ、むくれるなよ、ナマエ」





いつもの軽いやり取り。
でも確かに、どことなく元気が無いような気もする…?

どう聞こうかと少し悩んでいると、アイテム屋さんは視線をクラウドに向けた。





「そいつ、なんでも屋はじめたんだって?」

「ああ」





クラウドは頷く。
どうやらビッグスとウェッジが広めてくれた宣伝はアイテム屋さんの耳にも届いていたらしい。





「だったら、化けネズミどもと倒してくれ」

「化けネズミ?」





あたしはきょとんと聞き返した。
あれ、でもこれお仕事ゲット?

するとアイテム屋さんは「ああ」と言い、その詳細を話してくれた。





「奴らめ、ウェアラットを引き連れて街中を食い荒らしていやがる。うちの倉庫も襲われて、信用ガタ落ちだ」

「ふっ…」





あ、クラウド今笑った。
すっごく小さかったけど、反応したのは見えた。

そしてそれは、アイテム屋さんも見逃さない。





「アンタ、今笑ったな?口の端がピクッとしたぞ」





そう指摘されるも、でもまあ多分クラウドの方も隠す気はさらさらなさそう。

どうもやっぱり相性は悪そうな。
あたしはススス…とティファの傍に寄って耳打ち。





「まーたバッチバチだねーえ」

「あはは…ナマエ、火に油注いじゃ駄目だからね」

「えー、そんなことしないよー」

「でも楽しんでるしょ?」

「あ、バレてる?」

「バレバレ」





つんっと軽くティファに額を突かれて、あたしは「えへへ」と笑った。
いやー、だってこのバチバチはちょっと面白いでしょって。そりゃ否定しませんよーってね。





「まあ、仕事してくれりゃ文句はねえ。化けネズミは街はずれに潜んでるらしい。ウェアラットの悲鳴を聞いて助けに来るって話もある」

「あ、じゃあウェアラットが出そうなとこ探せばいいのかもね」

「ああ。化けネズミのくせに、仲間思いなのかもな」





街はずれ。ウェアラット。
その情報があれば、目星はつけられそうだ。





「クラウド、あたし多分いそうなとこの目星付けられると思う。依頼、受けるでいい?」

「ああ」

「よし!んじゃ、外出よ!道々作戦会議ね!」





こうしてアイテム屋さんの「頼んだぞ」の声に見送られ、あたしたちはショップを後にした。





「クラウド、アイテム屋さんの依頼受けるのは悪い話じゃないと思うよ。お客さん結構いるし、成功したらそれだけで宣伝になると思うもん!」

「うん、確かに!ナマエの言う通りだと思う。そこからもっと評判広がっていくよ」

「ネズミ退治だろ。さっさと終わらすだけだ」





おおー。相変わらずのひねくれ回答である。
でもやる気はあるってことだもんね。

さっき笑ってたけど、依頼はしっかり受けてるし。

あたしとティファは顔を合わせて「ふふっ」と笑った。





「それよりナマエ、目星がついてるって言ってたよな。こっちでいいのか」

「うん、ウェアラットの出そうなとこなら予想つくよ!伊達にモンスター退治やってませんて!案内はお任せを!」

「そうか…わかった、じゃあ、任せる」

「うん!」





任せる。
クラウドから貰う事の言葉はなんだか凄く嬉しいなあ。

あたしはその嬉しさを隠すことなく、笑って頷く。

そうして街はずれに案内したのだった。



END



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