マブダチとの別れ



「さーてと、じゃあクラウド、財宝探しに行く?あとジョニーに財布も」

「ああ」





キリエを見つけ、鍵とジョニーの財布を取り戻した。

そうして一段落つくと、ミレイユさんはコルネオの財宝に関する噂を教えてくれた。

コルネオは地下下水道に隠し部屋をいくつも持ってること。
陥没道路やスラムエンジェルのアジトの近くにも派手なコルネオの印がついた扉があること。

本当、この情報網の広さは何度聞いても驚くばかりだ。





「うーん、まあとりあえず先にジョニーのとこ行く?財宝探しはそれなりに時間かかりそうだし」

「ふっ…財布を無くした気持ちは痛いほどわかるからな?」

「あー、あははー…。うん、それは否定しません」





クラウドに軽く笑われる。
もうネタにされてるよね、その辺。

でもさ、財布を無くしたときのあの焦りって本当尋常じゃないわけだよ!

気持ちがわかる分、早く届けてやりたいっていうのは…まあ、正直あるのかもしれない。





「じゃ、届けに行こうかー。あは、ジョニー、泣いて喜ぶかもね」

「あんた、あいつと結構仲いいよな」

「え、そうかなあ?別に普通だけど」

「ズバズバ気兼ねなく言いたいこと言ってるだろ」

「ん?うーん、まあ気は使わないけど。まああんなだし、言いやすいキャラってのはあるかもね。ていうかクラウドだってジョニーにズバズバ言ってるじゃん」

「……。」

「え、どした?」

「…いや、…それもそう、か」

「うん?」





なんかちょっと考え込んでるクラウド。
え、なに、なんか変なこと言った?





「…そうか」

「クラウド?」

「行くか。財布、返しに」

「え?あ、うん?」





なんかひとりで納得してるクラウド。

まあとりあえず、まずは財布を届けにジョニーのところへ。
あたしたちはジョニーがいるであろう駅の方にへと向かった。





「俺の財布〜!!兄貴!兄貴はやっぱ兄貴だ!!」





財布を手渡せば、ジョニーは大絶叫の大歓喜だった。
流石に泣きはしなかったけど。

でも、兄貴兄貴と大興奮。

そんな様子に、クラウドはまた頭を抱えていた。





「…その呼び方はやめろ」





兄貴オンパレード。
やっぱこのやり取り何度見ても面白いんだけど。

思わずふっと吹き出せばじろりとクラウドに睨まれた。

ふは、だって面白いんだもん。
あたしは軽くごめんごめんと手で謝っておいた。





「とにかく、これで旅立てる」

「行くの?」

「ティファ、止めないでくれ。実は俺、命を狙われててここにはいられないんだ」

「う、うん」





財布が戻ってきたことで、旅立つというジョニー。
ティファがもう行くの?と尋ねれば、なぜかジョニーは語りだす。

…だーかーら、その命狙われうんぬんの正体、目の前の兄貴だし。
しかもそこまで詳しくティファ聞いてないし。止めてないし。

まあ、ネタ晴らしは出来ないけど、どこまでも勘違いしてる姿はちょっと滑稽だ。
いや、うん…流石に不憫って言っておこう。





「でも、ティファがどうしても行かないでって言うなら俺…」

「ジョニー、元気でね」

「え、あっ、はい…」





ティファに何か言いかけたジョニー。
でも全部言い終わる前にティファに見送られ撃沈。

あ、やっぱちょっと不憫かも。

ティファも罪づくりなお嬢さんだ。
ま、こんなの正直日常茶飯事だけどね。





「ジョニーなら、どこでも上手くやっていけるよ」

「お、おおー!力が湧いてきた!ティファはやっぱ俺の女神だ!」





ティファにちょっと褒められれば、途端に元気になるジョニー。

うーん、ちょろい。現金だ。

だけど、その姿を見てちょっと引っかかる。

ちょろいとか現金とか。
…もしかしてあたしもいつもこんな感じに見られてる?

あれ、マーレさんとかがよく言うのってこういうこと!?
それはちょっと、かなり嫌だな!?

なんか…凹んだ…。

でもまあ、ティファの言う通り、あたしも結構ジョニーはどこでもやっていけるタイプなんじゃないかなと思ってる。
わりと適応能力はある方だと思うしね。





「んー、ま、でも本当元気でやりなよね〜。確かにどこいってもちゃちゃっと馴染めそうなイメージだけどね」

「おう…なんだナマエ。お前、俺を心配してくれてるのか?」

「ん?そりゃするよー」

「お、おお…なんだ、お前…。いつも当たり強いのにお前にそう言われると調子が狂うな…」

「いや別に元気でねくらい思うでしょ」

「なんだよ、別れ際になって…急に優しくされたら泣けるだろうが…、…ハッ!もしかしていつものは愛情の裏返し…?まさか、お前、実は俺の事…」

「は?」





なんかふらふらとジョニーが近づいてくる。
おう…?な、なんだなんだ。





「…話は済んだか」





すると、すぐ傍からクラウドの声がした。

ちょっとびっくり。

ぱっと振り向くと、本当にすぐ傍。
肩が触れそうなくらい。

そんな近くにいるなんて思わなかったから。

するとジョニーはハッとした顔をする。




「おおと…やっぱり兄貴はコイツと?ま、コイツが俺をなんて、んな事あるわけねえな。うんうん、ないない。それじゃ、兄貴、ティファ、ナマエも、元気で!」





そしてジョニーは最後にそう言い残し、取り戻した財布を握りしめてその場から去っていった。

いや最後の何だったんだ。

まあでも、これで本当に旅立ちかあ。

アバランチのことでつるっと口を滑らす心配事がなくなると同時に、まあ知り合いがいなくなるっていうのはそれなりに思うこともあるのかもしれない。





「んー、静かになったなぁ…!あっ、お前が言うなとか思ってる?」

「…別に何も言ってない」

「そ?でもま、あんなのでもいなくなるとちょこーっとだけ寂しくもなるもんだねー」

「…寂しいのか?」

「え?いや別に、そこまでは」

「どっちだ」

「あはは!まぁ最後にじゃあねーは出来て良かったなってくらい?ほんのちょこっとそういう気にもなるねーってだけ」

「………。」





ジョニーが去った後、クラウドとそんな話をした。

クラウドはふぅん…みたいな反応。
そして何やら少し考えてるみたいにも見えた。

なんかクラウドさっきからちょっと変だよね。

あたしはそっとクラウドの顔を覗いた。





「あは、クラウドは?兄貴兄貴〜って言われなくなって、寂しい?」

「だから俺は兄貴じゃない。そのくだりやめてくれ」

「あはははっ!」





ついつい、このやり取りが面白くて笑う。

でもなんか、いつの間にか距離縮んでたのは事実だよね。
ドレスに着替えてる間、何があったんだろうなあ。

ま、なんにせよ、これでジョニーのお財布事件は解決。

やり取りと、満足感であたしが笑っていれば、クラウドの表情も次第に緩みを見せる。
うん、やっぱりあたしはクラウドのこの顔が大好きです。





「よーし、じゃあ次はいよいよコルネオの財宝探しする?」

「ああ、さっき聞いた話から手掛かりを探そう」

「ミレイユさんの情報だね!よっしゃ!財宝ざっくざく〜!コルネオのお宝ってのがまたいいね!」





あっちへ行ったりこっちへ行ったり。
色々と回ったスラムエンジェル関連のハナシ。

次はお待ちかね、噂で聞いてたお宝探しだ。

見つけたら、七番街の復興に役立てるだろうか。

そんな希望を見出しながら、あたし達はコルネオの財宝探しをしていくことにした。



To be continued



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