「クラウド〜!」
明るい声に呼ばれた。
それはきっと、俺がこの世で一番好きな声だ。
俺は剣に付け直していたマテリアから顔を上げる。
すると、ぱたぱたと駆け寄ってくる少女の姿が映った。
「クラウド!」
「なんだ?」
ナマエ。駆け寄ってきた彼女は俺の目の前まで来ると座っていた俺に合わせて自らもすとんとしゃがんだ。
近くなった目線に俺は自然と自分の頬が緩んだのを感じた。
ナマエもまた、笑顔を見せてくれていた。
「なにしてるの?マテリア?」
「ああ。いくつか組み合わせを変えようと思ってな」
「へえ〜、そっか」
「ナマエは?どうかしたか?」
「ううん、クラウドがいたから来てみただけ」
特に用は無いんだ、と彼女は笑った。
その答えに俺は多分少しだけ目を丸くしたと思う。
ただ、俺がいたというだけで来てくれたという事実。
じわりとあたたかなものが胸に広がった。
「あ、そうだクラウド。良かったらなんだけど、あたしこの間マテリアのちょっと面白い組み合わせ思いついてさ」
ナマエはいくつか転がるマテリアを拾いそう言って笑った。
俺はその笑顔をじっと見ていた。
ナマエの楽しそうな顔を見るのが、俺は凄く好きだと思う。
…だから、いくらでも見ていられる気がしたのだ。
空にはメテオが浮かんでいる。
…なのになんと浮かれた話だろうとはも自分で思うけどな。
「クラウド?聞いてる?」
「ああ、聞いてるよ」
じっと眺めていたからだろう。
ナマエは不思議そうに首を傾げた。
俺は頷いて尋ねる。
「面白い組み合わせ、どんなのだ?参考にするよ」
「お!やった!えっとね!」
ナマエの戦闘のセンスは抜群だ。
だからマテリアの組み合わせに関しても面白い意見を聞けることも多い。
話をしてくれるナマエは意気揚々としていた。
提案してくれた組み合わせも確かに試す価値がありそうなものばかり。
関心すれば少し照れたように、そして嬉しそうにまた笑った。
それは、俺に向けてくれている笑顔。
…まじまじと、ただ、そんなことを考えた。
そして心が実感して、少しでも多く長く噛みしめようとしている。
「…なんかクラウド、今日ご機嫌?」
「ん?そんな風に見えるか?」
「うん。なんか凄い表情が柔らかい感じがする」
「……。」
ふと、俺の顔を見たナマエに指摘された。
そこまでわかりやすかったか。
まあ、機嫌がいいのは当たっているのだろう。
「…そうかもな」
自分に向かって笑ってくれる。
それが、たまらなく。
たまらなく…嬉しくて嬉しくて仕方がないと思った。
END
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -