もしも幼馴染みだったなら


「ナマエ」

「ああ、クラウド」





カチャ…と音を立てるのはいくつかのお気に入りのアクセサリ。
この世界で手に入れたものもあるから、手の空いた今の時間にちょっと整理をしていた。

そんな時、そこに声を掛けてくれたのはクラウド。

あたしは手元からクラウドを見上げ、ニコッと笑みを浮かべた。





「幼馴染みトーク、楽しかった?」

「え?」





そして尋ねた質問。
するとクラウドはきょとんとした。

おや?
あたしは軽く首を傾げて続けて聞いた。





「ん?したんでしょ?えーっと、マキナとレム、パンネロとヴァンと一緒に。あとティファね」

「なんで知ってるんだ?」

「パンネロがさっき教えてくれた」





本当についさっきのこと。
パンネロが偶然幼馴染みがいるメンバーが集まってそんな会話をしたのだと教えてくれた。

最近新しく仲間に加わったマキナ。彼はレムと幼馴染みなのだという。
そこにちょうどヴァンとパンネロ、クラウドとティファという幼馴染みな組み合わせが居合わせていて、そんな話が膨らんでいったんだとか。





「いいなあ、幼馴染み。あたしはそういうのいないからちょっと楽しそう〜」

「別に特別そう変わった事なんてないぞ」

「そう?でもクラウドとティファの幼馴染みは楽しそう。ティファがさ、ニブルへイムに言った時に給水塔から見える星が綺麗だから一緒に見れたら良かったねって言ってくれてさ、その時いいなあ〜って思ったんだけど。子供だけで夜抜け出して星見るとかすっごい楽しそう!」

「…まあ、確かに給水塔から見る空は綺麗だな」

「ほら!いいなあいいなあ。子供のころのクラウドとか見たかったよ〜。絶対可愛いよね!」

「可愛いって…あのな…」

「あはは!でもいいよなあ、ホント。クラウドとティファと幼馴染みかあ…」





もしもクラウドとティファと幼馴染みだったとしたら。
くだらないことだけど、そんな想像をしてみるのは結構楽しいものだ。

まあクラウドの方が歳は上だし、遊ぶっていうよりかは遊んでもらうって方が正しいのかもしれないけど。





「んー、子供の頃って2、3歳とかでも結構大きな差だよね」

「え?ああ、まあ…そうだな」

「ということはクラウドのこともすっごいお兄ちゃんに見えるのかな」

「さあな」

「おお〜。なんか自分の事だけどあたしむっちゃくちゃクラウドに懐いてそう。自分でもそんな想像がつく気がする」

「…幼少期の環境次第で変わると思うが。正直今だって何で慕ってくれるのか…」

「ん?」

「いや、なんでもない…」





最後の方、ちょっと声が小さくて聞こえづらかった。

慕って?
うーん、でもやっぱこう、今の時点でもうキラッキラして見えてるじゃない?
自分でも懐いてるなあってのはわかってるわけさ。

だからもし幼少期に会ってたとしても同じなんじゃないかと。





「なんかこうさ、背中見つけたら追っかけるみたいな。クラウドおにいちゃ〜ん!つって」

「……。」





想像、いや妄想が捗る。
正直小さなクラウドの妄想をするだけで胸が躍るね。変態か?!

いやそこはまあクラウドが素敵すぎるからでしょ!ってことで!
意味わかんねえとか言っちゃいけない。

いやいやでもさ、小さい頃に、自分より少しだけ大きいお兄ちゃんの背中を追い駆ける。
それってめちゃくちゃ楽しそうじゃないかと!!





「幼馴染みのお兄ちゃん!あ、なんかすっごく良い!!」

「……。」

「…クラウド引いてる?」

「い、いや…(お兄ちゃん…ちょっとグッと来た、とは言えない)」





クラウドは軽く咳払いした。

あれ、引かれた?
いやでもこんなのいつものことでしょー。
って、もしかしていつも引かれてる?!それはまずいな!?

もしくはお前みたいな馬鹿な妹分はいらないとか。
いやそれは殺生な!!!!

まぁ、妄想が膨らんだというか。

それだけで結構楽しめたあたしはきっとシアワセな奴なんだろう。



END
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