強面のお父ちゃん


ナマエやクラウドと同じ世界から来た人が見つかったみたいだよ。

クラウドと雑談していた時、そんな話を聞いた。

え!いったい誰だろう。
そう詳しい話聞いてみると、それはなんでも血の気の多い大柄な男の人だったという。

その特徴を聞けば「あー…」と、あたしとクラウドの頭にはすぐ思い浮かぶ人物がいた。





「…多分、バレットだねー」

「そうだな…」





クラウドとふたりで頷き合った。
うん、やっぱり真っ先に浮かぶよね。

浮かんだ人物…それは娘溺愛の強面お父ちゃんのバレットだった。





「いやもう絶対バレットでしょ、そうに決まってる!」

「決めつけたな」

「他にいたっけってちょっとは考えたよ。でもいないもん」

「まあ同じ世界ってわかってる時点で知り合いの誰かではあるからな」

「ね!てことで会いに行こう、クラウド!」





同じ世界から誰か来たって聞いて、会いに行かない理由もない。

ほぼほぼバレットだし。
てことで、あたし達はバレットに会いに行くことにした。

先に様子を見に行ってくれたというティファとこちらに向かっているらしいから、再会はこちらからも迎える形になった。





「あ、バレットはっけーん!」

「おう!ナマエ、クラウド!本当にお前らもいたんだな」





聞いていた場所に向かえば、やはりそこにいたのはバレットだった。

バレットはあたしとクラウドを見ると純粋に再会を喜んでた。
いやま、あたしも嬉しいけどね。

集まればおのずと今までどうしてたあーだこーだって話が始まるのは必然だ。
あたし達は輪になるように、4人で話を始めた。





「敵だと思われてたのか…」

「ああ、散々だったぜ。合流出来て良かったけどな」





バレットにここに至るまでの経緯を色々と聞いてみれば、どうやら最初、見つけた皆から敵だと思われたらしい。
一応そこにティファが入って大ごとになる前に誤解は解けたみたいだけど。

それを聞いたクラウドはちょっと呆れたように息をついてた。

でも、敵かあ…。

そう思いながらあたしはまじまじと久しぶりのバレットを見た。
うん、でも確かにガラは良くないよね!





「おい、ナマエ。なにじろじと見てやがる」

「いやあ…でも気持ちはわかるよなあって思って。例えばさ、誰かに道とか聞きたいな〜って思ったとして、バレットがいたらまず避けるよね」

「んだと!!てめえ!!」

「わー!?暴力はんたーい!!!」





素直な感想を言ってみたら、バレットは両手を挙げて怒った。
やっばい!ギミックアームの方で拳骨喰らったらマジで痛いよ!!

殴られそうになったあたしはササッと逃げてクラウドの背後に隠れた。

そんな様子にもクラウドは溜息ついてたけど。
だけど「でもそう思わない?」って言ったら「…まあな」って言ってくれた!ほらみろ!!

まあバレットも別に追い駆けまわしてくるような事はないし、だから「ケッ」と軽く舌打ちすると、改めて会話はこの世界の事についてに戻った。





「まあいい、それより…お前たちこの世界が長いんだろ?マリン…無事だと思うか?」





ここは流石お父ちゃんってところだろう。
バレットが真っ先に気に掛けたのはマリンの事だった。

あたし、クラウド、ティファは顔を合わせる。

そういえば確かに、あたしたち3人はこの世界の仲間たちの中でも古株の方なのかもしれない。

結構最初っからいる、よね。
旅が始まった最初の島からいる感じ。

だけど、そうは言ってもこの世界に関してはわかって無い事の方が全然多くて…。
正直バレットが望む答えはあげられそうになかった。





「やっぱり気になるよね…。…ゴメン、私たちにもわからないんだ。この世界を守れば元の世界も守れるってそういう戦いをしてきたから…」

「うーん…そうなんだよね。この世界の異常が元の世界にも影響するらしいから、それを防ぐためにって感じでやってきたからね。マリンとか元の世界の人達の事を考えて、あたしたちに今出来ることを…とは思ってやってはきたけど」





ティファと一緒にまだ把握出来てない事が多いと正直にバレットに告げた。

そこからはケット・シーもやってきて、彼も一緒に色々と説明をしてくれた。
ケット・シーってわりと参謀タイプというか、こういう説明とかに関してって頼りになるよなあって思う。

なんにせよ、この世界は今はまだ無事だ。
だから元の世界もそうであろうと信じたい。

そんな風に話を聞いて、バレットも納得していた。
そしてマリンの為に、マリンがいる元の世界を守るためにこの世界で戦うことを決めた。

そんな姿は、やっぱり良いお父ちゃんだなって素直に思うのだ。





「んー、やっぱバレットはマリンのこと気にするよね。あたしも気になるけど、でもやっぱ人一倍って言うか…当たり前だけどさ」

「まあ、そうだろうな」





その後、飛空艇に戻ってからあたしはクラウドとまた少し話していた。
やっぱり内容は自然とバレットの話。

マリン元気にしてるかなあ…。

セブンスヘブンでよく一緒に遊んでいたあの小さな姿をなんだかすごく懐かしく思った。





「…それにしても、あんたいっつもバレット怒らせてないか?」

「ええー?バレットが怒りっぽいだけだよー。クラウドだってちょいちょい喧嘩してるじゃない?」

「まあ…それもそうか」

「そうそう。あははっ!まあ、結構嫌いじゃないんだけどね、ああいうやりとり。殴られたくはないけどさ」

「続けるとまた殴られるぞ」

「じゃあクラウド助けてー」





へらっと笑って言えば、クラウドはまた軽く息をついた。
む、呆れられてる?でもクラウドはそう呆れつつも背中に隠したままでいてくれるからその瞬間も結構好きだったり…なーんて言ったらまた呆れるかな?

でもね、こうして仲間たちとじゃれ合うのって楽しくて。

あたしはくすくす笑った。
するとそれに釣られてか、クラウドもふっと笑みを零した。

ほら、これだけでも、心はあたたかくなる気がした。


END
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