Nickname


「ねえねえアーロン、あだ名の話って聞いた?」

「あだ名?」





ちょっと面白い話を耳にした。

だからあたしは見かけたアーロンに声を掛けて、その話をしてみることにした。

多分耳に挟んでれば今のでピンとくると思う。
でもアーロンの返事は疑問符がついていたから、どうやらまだ知らないらしい。




「その反応は聞いてない感じだね。あのね、シンクが皆にあだ名つけてるんだって」

「…なんだそれは」

「えっとねー、リノアがリノっちで、ロックはロックんとか?そんな感じ」

「…あの娘ならやりそうだな」





話してみれば、アーロンは若干呆れ気味だった。
まあアーロンに言えばそんな反応をするだろうってのは想像出来た。
むしろなんでそんな話を俺にするくらいのあれである。

でも問題なのはその次なのよ。
面白いのはここから。

だからあたしはにっこり笑って話を続けた。





「あとね、モーグリがもぐりんでレオンハルトがハルたんだって」

「………。」





レオンハルト。
その名前を聞いた瞬間、アーロンが顔をしかめた。

やっぱそこは反応するよね。
ああ、もう聞いただけで面白かったもんなあ。

そこまできたらちょっと笑いが出てきた。
でもあたしは特にそれを抑えることはしなかった。





「あははっ!すっごいよねえ、レオンハルトもだよ?しかもハルたん。可愛すぎる…。くふふっ…」

「…奴にとっては災難だな」





レオンハルトがハルたんとな。
ていうかレオンハルトにたんをつけようとするそのセンスに脱帽だ。

どんな様子だったのかと、その場に居合わせられなかったのが残念でならない。
まあアーロンは同情気味だったけど。

でもこう話してるとさ、やっぱりこういう発想も出てくるものだよね。





「ふふっ!アーロンもつけてもらえば?アロたんとか!」

「……。」





本当に、大して何も考えず簡易的につけて呼んでみた。

すると間髪入れずギロッと凄い眼光で睨まれた。
こっわ…。相変わらずの凄みである。

でも同時になんだかなんとも言えない気持ちになった。





「うっわ、呼んどいてなんだけど気持ち悪…」

「…次に言ったら覚悟しておけ」

「物騒!!…うーん、でも、まあねー、あたしは楽しそうって思うけど嫌だったら今はシンクに近づかない方がいいかもね。あの子怖いもの知らずだもん」

「…そのようだな」





アーロンはまた呆れ気味にため息をつく。
それを見てあたしは小さく苦笑いした。

シンクだったらアーロンにもつけてしまいそうだ。

まああたしとしてはどんなあだ名付けてくれるのか引き合わせてみたいけど。
そんなことを言えば、べしッと頭をはかれた。



END
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