ラストリゾート


「本気でいきます!」





綺麗な銀色の髪をかすかに揺らしながら、そう叫んだ少年。
手を掲げれば彼の周りにいくつもの光の球が現れ、それは舞うように宙へと浮かぶと周囲にいる魔物たちに降り注いでいく。

ラストリゾート。
最後の切り札を意味するそれは、彼、ホープの必殺技だった。





「なんですか、じっと見て」





戦闘が終わる。
魔物を一掃し、ふうっ…と軽く息を整えた彼はその背中を見ていたあたしの方へと振り返った。





「ん?よく気付いたね」

「いやあれだけ見られてたら気が付きますよ…。戦ってる間、ずっと気になってましたもん」

「あれ、ほんと?それは失礼いたしました」





まあ見ていたのは確かだし、そう言うのなら本当に気になっていたんだろう。

ホープはこちらに歩いてきた。
そして目の前まで来ると、あたしを見上げて首を傾げた。





「どうかしました?僕、何か変でした?」

「ううん、別に。何も変じゃないよ。うーん…やっぱ懐かしいなあって思ってた」

「懐かしい…?」





あたしがそう言うと、彼は自分の姿を見直していた。
幼い日の姿である自分を。

そして再び、あたしを見上げて少し眉を下げて笑った。





「記憶戻ってからもう結構経ちましたけどね」





その表情は大人びているようで、でも顔立ち自体は幼い。

ホープは今、14歳の姿をしている。
だけど中身は、記憶は大人のものを有している。
失っていた子供の記憶を取り戻したから。

そしてそれはあたしも同じ。
だから今の彼の姿を懐かしいと感じる。





「うん。確かに慣れはしたけどさ、でもたまにふとした時に思ったりするよ」

「まあ、そうかもしれませんね。僕もナマエさん見てて懐かしいって思うことありますし」

「そ?ああ、でも今思ったのはラストリゾート使ってたからかも」

「ラストリゾート?」





さっきの戦闘でラストリゾートを放っていたホープの背中を見て、一緒に旅をしていたあの事をなんだか凄く思い出した。

実はホープって、あのルシの一行の中で魔力は一番高かったんじゃないかなって思う。
ここぞと言う時で放つあの技は、まさに切り札のような。

ああ、本当に懐かしいな。
とんとん…と、想いが少しずつ積み重なっていくような感じがする。

決して楽では無かった。
辛い事も沢山あった、苦しい旅だ。

でも良い事もあった。
皆と沢山笑ったし、絆も深まった…なんて、そんな風に本気で思える時間。

そして、ずっとずっと…一緒にいられた時間だ。





「ね、ホープ」

「はい?」





声が届いて、すぐに返してくれる距離。

ヒストリアクロスの旅を選んだのはあたし自身だ。
ノエルとセラと一緒に未来を変える。その選択に後悔はしてない。

でも、空を見上げて同じ空の下にホープがいない、違う時代にいるって不思議な感覚だった。
無性に会いたくなる、そんな気持ちになることは何度もあった。

今は、目の前にいる。





「ホープー!」

「えっ…わっ!」





あたしは手を伸ばして、自分より少し小さいホープにぎゅっと抱き着いた。
触れられる距離にいることが、なんだか嬉しくなって。

ホープは当然驚いていた。
でも、突き放されることなんて無くて受け止めてくれる。

すぐにとんっ…と優しい手が背中に触れるのを感じた。





「ナマエさん…?」

「えへへ、ビックリした?」

「そりゃ…」

「ふふ、やっぱり、傍にいられるのって嬉しい…」

「えっ…」





傍にいる。一緒にいる。
その現実が、なにより嬉しい。

抱きしめた腕の中。
その時、ふっと…小さな笑みの音が聞こえた。





「僕も嬉しいです」





背中で優しく添えられているだけだった手に、ぎゅっと力がこもった。
引き寄せられるように、小さな体に目一杯抱きしめられる。

それはまるで…僕も、って…言葉だけじゃなくて全身で伝えてくれてるみたいだった。



END


やーっとEXと真化が実装されましたね!!
嬉しすぎて頭ン中がお祭り過ぎてなにか書きたいなと。(笑)

いやだってですよ…ホープって6060覚醒の時から今までずっと放置だったんですよ…。
ちなみに去年の2月の話です。1年と半年ですよ!!!待ちましたね!みなさん!やりましたよ!!

まあそんあこんなでここ数日ずっとテンションが高い私です。
こんなに待たされるとは思わなかったので感動もひとしおですね。
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