かみなりはこわくない


異世界の空も移り変わる。
時には雲ひとつない快晴に、時にはバケツをひっくり返したような大雨に。

今は空は、まさにそのバケツをひっくり返したような大雨だ。





「すごい雨ですね」

「ねー」





あたしはホープと一緒にそんな空模様を飛空艇の窓から眺めていた。

窓に叩き付けつるように勢いよく飛んでくる水。
ザーッという止まらぬ音がずっと耳に響いてる。





「こんなん外出たら一瞬でびっちょびちょだね」

「今はここにいるのが正解ですね」





叩き付ける雨に抱く感想は実にシンプルだ。
こんな中絶対外には出たくない。

強い雨はこうして屋根のある場所で眺めてるのが一番だよ。

こうも勢いがあると見ていてちょっと楽しい気もしてくるから不思議なもんだ。

するとそこに、また新たなアクセントがひとつ。
ぴしゃーんッと、瞬く光と激しい音が響き渡った。





「おおっ、雷!ホープ、今の見た?!」

「はい。あそこ、光りましたね」

「あ、また光った!」





ぴしゃーん、ぴしゃーん。ごろごろごろ…。
なんだかずっと鳴り続いてる。

あたしはじいっと空を見て、雷の光を探していた。
そして一際大きな音が鳴ると「おっ」てちょっとテンションが上がる。

するとその様子にホープが言った。





「ナマエさんって、雷とか平気ですよね」

「え?」





あたしはきょとんとホープを見た。
ホープもこっちを見てて、目があう。

その瞬間、またぴしゃーんと響いた。





「ああ、うん、まあ…出たくはないけど怖くはないね」





雷の音。確かにそういうのって悲鳴とか付き物だよね。
ホープが言っているのはそういうことだろう。

きゃーって怖がってる子、見かけたことあるし。小さい子とか苦手な子多いかもね。

あたしは全然へっちゃらだけど。





「むしろ大雨とか雷とか強風とか、絶対カーテン開けて見てる感じですよね」

「ホープだって見てるじゃん。んー、まあ…。おお〜とか思っちゃうのはあるかもね…」





さっき雷見た?なんて言ってしまったし…。
ホープにもですよね見慣れてますって顔された。

へいへい、確かにちょっとした悪天候だといつもこんな風に眺めてるかもしれませんけど。

でもそんなことを聞いてきたってことはつまりはこういうことか?





「雷を怖がる女の子がお好みですか?」





背の低い彼を顔を覗きこむように、そう聞いてみた。
すると彼はふっと笑い、ゆっくりと首を横に振った。





「あははっ、そんなとこにこだわりないですよ」

「ふーん?」

「この世界に来て色んな人に会ったじゃないですか。だから中には嫌がってる人もいるのかなって思っただけです」

「ああ、確かに。これだけいればいるのかもね」

「でもまあ、もしナマエさんが怖がってたらちょっと楽しそうですけど」

「今更想像できる?それ」

「ははは!できませんね!」





そんな会話を交わしながら、あたしはまた視線を窓の外へと戻した。
相変わらずの悪天候。雨も雷も、止まることなく降って響いてる。

雷…か。

またぴしゃりと鳴った光に、あたしは少し笑った。





「そもそもさ、あたしたちにとって雷は怖いものじゃないでしょ?」

「え?」

「うん、むしろ憧れ?」





駆け抜ける雷光。
バッと薔薇が舞って…。

そんな姿を思い出せば、自然と笑みが零れる。

ホープもあたしが言わんとしてる事をすぐ理解してくれた。
だから彼もふっと微笑む。





「そうですね」





雷は怖くない。
彼もまた、確かに頷いた。



END


ちょっとオリジナル。
オペオム設定でやらなくても良かった気もしますが、なんかパッと浮かんだのがオペオムでの設定だったので。

時期はまあ2部以降ならいつでもいいのかなと。

雷苦手キャラってリュックかなあって真っ先に思うんですけどまだいませんからね。リュック来たらリュックは苦手だって言ってたよ〜みたいにすこーしだけ書き直そうかな。(笑)

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