たくさんの繋がり


あたしには、好きな人がたくさんいる。
旅をしてきた仲間たち。
親友とも呼べる人。

この世界で出会った新たな仲間。

それから、大好きな大好きな…恋してる人。

人との繋がりというのは、きっと、いくつもの色々な形があるだろう。

家族、友達、恋人。
他にももっと、色々たくさん。

でもきっとカダージュは、たったひとつの繋がりだけしか知らない…。

それが、ジェノバたる母さん。
だからそこにこだわり、固執する。

今、振り返った時、実際はそんなことはないはずなのに。





「だから俺たち、母さんの他にも味方がいる。もっと多くの想いを知ってほしくてさ」

「それ、カダージュに、伝えたい」

「ああ、そんなわけでさ、カダージュのこと探してるんだよ」

「なるほど…」





今、あたしはフリオニール、ガイ、ザックスの3人と一緒に歩いていた。

なんでも3人はオニオンナイトやポロムとパロム、ヴィンセントなんかとカダージュの話をしていたらしい。

フリオニール、ガイは孤児として育った。
だから家族…母という繋がりだけでなく、他にもたくさん、大切な繋がりがあることをよく知っている。

そんな想いを伝えたいと、ジェノバ以外にも味方はいるのだと。
そう話をするべく、カダージュを探しているのだと言う。

でも確かに、その考え方は納得かもって思った。
ひとつの繋がりしか知らないから、そのたったひとつにこだわる…か。

クラウドに兄さんってついて回るのもそのせいなんじゃないかって。

本当、なるほどなるほどって感じだ。
こういう時、皆で色々考えられるのは強いなって思う。

カダージュも、こんな風に誰かと一緒にいること、いいなって思ってもらえればいいのに。
それは心から、本当に思うこと。

だからあたしは3人に同行し、カダージュを探すのを手伝っていた。





「カダージュ!」





しばらく歩くと、その姿を見つけた。
フリオニールが名前を呼び、皆もそれに合わせて駆け寄っていく。

カダージュは誰かと話していた様だった。

その相手は、とてもよく知る金髪の彼。





「あれ、クラウド?」

「…ナマエ」





カダージュと一緒にいたクラウド。

声を掛ければクラウドもこちらに振り向く。

クラウドもカダージュをどうしたら受け入れられるか、少し考えるって言ってた。
もしかしたら、考えまとまって話してるところだったのかな?

あたしはそう思っていつものようにクラウドに微笑んだ。
でもクラウドは、ちょっと難しい顔をしたまま。

まあ色々と考えてることもあるのかな。





「フリオたち、カダージュに伝えたいことあるんだって」

「伝えたいこと…?」

「うん」





あたしはクラウドの近く寄り、ここに来たわけを教えた。

その際カダージュにも目を向け、「よっ」て感じで軽く手を振る。
まあちらっとこっちを見ただけで、特に何も返してくれなかったけど…。ふん、いいもんね!!

そうしている傍で、早速フリオニール達はカダージュに自分たちの想いを伝えていた。





「あんたに伝えたことがあるんだ。少しでいい。聞いてくれないか。母さんに会いたい気持ち…たぶんそれは叶えてやれない。だけど、カダージュの世界はそれだけじゃないんだ。俺たちも本当の家族じゃなかったけど、大切な人たちに出会えたよ」

「……。」

「お母さんじゃなくても、味方、いっぱいいる!」

「だから俺も、あんたと上手くやっていけたらって…」

「…へえ、それで?」

「ここまで一緒に戦ってくれて、心強かった。今度は母さんの代わりに俺たちが…」





フリオニールとガイが真っ直ぐに気持ちを伝える。

カダージュも聞いてた。
でも…なんだか、ちょっと変?

いや、なんとなく…カダージュの返事が冷めたように聞こえて。

そしてそこまで話した時、その引っ掛かりが確信に変わる。





「やっぱり、そうなんだ」

「?」

「みんな僕に、諦めろ、って」





諦めろ…?
なんでいきなりそんなこと?

そう言ったカダージュの声は、今までで一番冷たい。





「誰がそんなことを…!」





ザックスが驚いたように返す。

でもその時、あたしは気が付いた。
カダージュが「諦めろ」を口にした時、クラウドが一瞬、ちょっと反応したこと。

…クラウド?

少し、気になった。

でも、それを考える暇はなかった。





「その通りだ、カダージュ」





突如、辺りに響いた低い声。
その声にその場にいた全員に緊張が走る。

この声は…!

そう気づいた瞬間、そいつは目の前に現れた。





「そいつらはお前からもすべて奪おうとする…」





カダージュに囁く声。

なびく銀髪、黒コート。
そこに現れたのはセフィロスだった。



END
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